「ドリームキャッチャー」

アメリカインディアンのアートを楽しむ

ファッション・メモ特別編集 ワールド・ムック263

ワールドフォトプレス より














ドリームキャッチャー、メディスンバックなどに込められた伝説と意味、そして多くの素晴らしい

インディアン・ジュエリーを芸術家の紹介を交えながら掲載している雑誌です。この雑誌の特徴

は国内のインディアン・ジュエリー専門店28店を詳しく掲載している所ですが、どの作品にも

インディアンの伝統文化を背景に、一人一人の芸術家がもつみずみずしい感性が織りなした

世界観、そしてそこに込められたメッセージの存在があります。だからこそ普通のジュエリー

には感じられないなにものかを感じてならないのでしょう。

(K.K)







心をみずみずしくよみがえらせてくれるネイティブ・アクセサリー。その神秘に満ちたパワーの

原点にふれてみませんか。ドリームキャッチャーが青い夜から、夢の贈り物を運ぶのはなぜ。

ネイティブ・アメリカンの人たちの作るシルバージュエリーは、なぜあれほどまでに心をやさしく

してくれるのでしょう。なぜネイティブ・アメリカンの人たちは、色とりどりのフェザーやビーズで

身体を飾ってきたのでしょうか。その理由が見つけられたら、きっとネイティブ・アクセサリーは

自分だけに特別なアクセサリーになってくれます。大切に守って離したくないほど好きになれま

す。そんなアクセサリーがきっとどこかで待っていてくれるはずです。見えないパワーを運んで

見守っていてくれる。そして心をほどいて癒してくれる。だからいつでもそばにいて。ネイティブ・

アクセサリーはそんな魅力をたたえています。(本書より)







夢の贈り物・眠るあなたに夢を届けるドリームキャッチャーの伝説

仙波喜代子 文



ドリームキャッチャーは、クモがネイティブ・アメリカンの人たちのもとに運んできてくれたと信じられて

います。部族ごとに、ドリームキャッチャーにまつわる伝説がいくつもあります。「部族の者たちが、目的

にかなった生き方をするために、これを役立てなさい。良い夢をつかまえて、ヴィジョンを得るために使

いなさい」 五大湖地方に住むオジブワ族には、そういってドリームキャッチャーが伝えられたと言われ

ています。なぜなら夜の空気のなかには、良い夢と悪い夢がただよっていると、信じられていたからで

す。「グレイトスピリットを信じていれば良い夢だけがまん中の穴をすり抜けて、眠る者のもとに届けられ

るでしょう。悪い夢はクモの巣にからめとられて朝日とともに消えてしまいます。ちょうど朝、太陽が昇っ

て、最初の朝日を浴びたとたんに消えてしまう朝露のように」 ですから夜、眠る前にはドリームキャッ

チャーを枕元に下げておくようになりました。悪い夢につかまらずに、安心してぐっすり眠れるように。

朝、目ざめた時に、良い夢だけを覚えていたとしたら、それはドリームキャッチャーが働いてくれたおか

げです。中央の穴をすり抜けることができた良い夢が、眠っている者に届けられたのです。悪い夢はク

モの巣にからめとられたり、ドリームキャッチャーのサイドに下がっている羽根や飾りにひっかかったま

ま朝を迎えます。夜が明けて、最初の父なる太陽の光を浴びると、それは消えてしまいます。人は一生

のあいだに、いろいろな影響を受けながら生きています。毎日の生活のなかでは、悲しい思いをしたり、

困難な目にあうことだってあります。そんな時に彼らは、夢に答えを求めます。夢に正しいパワーを下さ

いと祈ります。悩みを抱えていると、ふだんならそんな間違いはするはずがないといった簡単なことで

も、誤った判断をしてしまうことがあります。そんな時に、もしも悪い力に引っぱられてしまったら、本人

が傷つくのはもちろんです。けれど、傷つき苦しむのは自分一人だけではありません。自分を愛してく

れている家族の者たちだって、悲しい思いをしているはずです。友だちや自分の周囲の人たちにも、

きっと悪い影響をあたえているでしょう。そうならないように、自分の行動を導く正しい力を下さいと夢に

祈ります。それが良い夢だけをつかまえて、正しい道を歩ませてくださいという祈りにつながります。ネイ

ティブ・アメリカンが「夢を求める」という言葉には、とても切実な意味がこめられています。ただ単に、憧

れや、希望を求めているのとは違っています。彼らにとって「夢」が持っている意味の深さを知れば、ドリ

ームキャッチャーがいかに大切なものかが分かります。どの部族でも、彼らは生まれたばかりの子ども

たちを独りにすることはありません。精神的にも、物理的な意味でも、赤ちゃんのそばから離れること

を嫌います。そのために生まれたばかりの赤ちゃんは、クレイドルボードと呼ばれる揺りかごのような

板に寝かせて育てられます。クレイドルボードは、母親が織り物をしている機織りのそばに立てかけて

おくことができます。そのままボードを横抱きにして、つれて歩くこともできます。子どもが生まれてくる

と分かった時点で、このクレイドルボードを作ります。オジブワ族では、これを作るのは父親の仕事と

されています。そしてクレイドルボードのちょうど頭の上にくる輪には、ドリームキャッチャーが結ばれ

ているはずです。女の赤ちゃんが生まれたら、きっとドリームキャッチャーのサイドに飾られているオー

ナメントは、フクロウのフェザーのはずです。この鳥は、知恵を授けてくれると信じられているからです。

男の子だったらイーグルです。イーグルのフェザーはパワーを授けてくれるからです。彼らは子どもた

ちを大切に育てます。部族の命を未来に伝える、大切な存在だからです。良い夢と、悪い夢の区別を

つけられない幼い子どもたちを守るために、親はドリームキャッチャーを忘れずに枕元にかけておきま

す。そして良い夢だけをつかまえられるようにと祈って、ドリームキャッチャーをベッドのそばに下げて

眠る習慣は、大昔から現在まで続いています。夢とは夜、眠っているあいだに見るもの。それが一般

的な夢のとらえ方です。そうして見た夢に、ネイティブ・アメリカンに限らず人は意味を見いだそうとして

きました。(中略) ネイティブ・アメリカンの人たちも、夢の中身をいろいろに考え、解釈しようとしてき

ました。時には超自然的な存在が、夢のなかに現れると信じられています。そのために部族によって

は、ドリーマーと呼ばれる人がいます。ドリーマーとは普通なら、夢見がちな人という意味です。けれど

ネイティブ・アメリカンの人たちのあいだでは、まったく違った存在です。彼らドリーマーたちは、夢に通

じる特別な力をあたえられた人たちなのです。夢を通じて、彼らは魔法のパワーにどう生きたらよいの

かを教えてもらう能力を磨いた人たちです。夢は「スピリット・ワールド」から届けられると信じられてい

ます。そこで、神秘の世界に通じているドリーマーに、彼らは自分が見た夢を話して解釈してもらいま

す。これは夢判断とか、夢占いといったものとは違います。生きるための道筋を示してもらう大切な儀

式とされています。ドリームキャッチャーを、だれがいつ最初に作ったかは分かりません。ただどの部族

でも、ドリームキャッチャーがクモにまつわる物語として伝えられている点だけは共通しています。オジ

ブワ族のドリームキャッチャーは、部族の老女が一匹のクモを助けたことから始まったとされています。

ある日のこと、クモが巣をはっているようすを見守っていた老女がいました。そこに孫息子がやってき

て、何の意味もなく足でクモをつぶそうとしました。その瞬間に、彼女は静かな声で言いました。「クモを

殺してはだめよ」 「どうしてさ。こんなちっぽけなクモなんか殺したって平気だよ」と孫は答えました。

老女はクモを殺してはいけない理由を、語ろうとはしませんでした。ただ黙って微笑んでいるばかりで

した。孫はそれ以上、気にも止めずに老女のそばから離れていきました。別の遊びに気をとられて、

すぐにクモのことなど忘れてしまったのです。子どもが行ってしまうと、クモが老女に話しかけました。

「あなたはもう何日も、ぼくが巣をはるのを見ていてくれました。仕事ぶりをほめてもくれましたね」

彼女は驚いたようすもなく、クモの声を聞いていました。「今、ぼくの命を救ってくれたお礼に贈り物を

あげましょう。これを夜眠る前に、ベッドの横にかけておけば、良い夢だけがクモの巣のネットをすり

抜け、あなたのところに届きます。悪い夢はクモの巣にがんじがらめにされて悪さをすることはない

でしょう」 ラコタ族にも、ドリームキャッチャーにまつわる伝説があります。ラコタ族の指導者は、高

い山に住んでいました。ある日、彼のヴィジョンのなかに、知恵を伝えてくれるイクトミという者が現

われました。イクトミはクモの姿をしていました。「ヤナギの枝を丸く曲げて輪をつくりなさい。そこに

クモの糸をはりなさい。人の命にはサイクルがある。それに従って生きていきなさい。赤ん坊として

生まれて、子ども時代を過ごし、おとなになる。やがては老い、ふたたび赤ん坊のようにだれかに

世話をしてもらって一生を終わる」 イクトミは聖なる言葉でこう教えてくれました。そこに示されて

いたのは、ネイティブ・アメリカンが大切にするサークルという生き方であり、ドリームキャッチャー

のサークルに通じる教えでした。



目次

心がやさしくなれるスピリット

夢の贈り物 ネイティブ・アクセサリーのすすめ (文 仙波喜代子)

ドリームキャッチャー

インディアン・ジュエリー

ビーズ

フェザー

ドラム


ネイティブ・アクセサリー ショッピングガイド

サンタフェ

アルバカーキー


国内ショップガイド


三人のインディアン・ジュエリー アーティストたち

ゲーリー&エルシー・ヨヨキー(ホピ族)

リチャード・ツォッシー(ナバホ族)

ローレンス&グリセルダ・スフキー(ホピ族)


ターコイズが集まる街、ギャロップ

サンタフェ、アルバカーキー、フェニックス現地取材


崖の向こうからやってくるインディアン (文と写真 境令子)







アメリカ・インディアン(アメリカ先住民)に関する文献

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