「インディアンの知恵」

心が曇ったら空を見よ

塩浦信太郎著 光文社







本書 あとがきにかえて「スタンリー・ペリーとケーロンに」 より抜粋引用


なぜまた、ネイティブ・アメリカンの世界に来てしまうのだろう。ナバホの友人を訪ねるとき、

私はいつもそう思うのです。私は、ずいぶん長いこと旅から旅への生活を続けてきました。

その行動する私の羅針盤は、ここのところいつも“聖なる旅”を志向しているような気がしま

す。聖なる旅などと言うと、新興宗教の類いを連想されてしまいそうですが、そうではありま

せん。私はもっとシンプルに自然を感じられる自分でいたいのです。ネイティブ・アメリカンの

世界への旅が教えてくれるさまざまなことは、私にとって、そのための処方箋のようなものか

も知れません。


インドに行ってサイババのアシュラムで修行したときも、チンギス・ハーンの痕跡を訪ねて

モンゴルを旅したときも、またペルーやアフリカを旅したときも、私が惹きつけられたのは、

自然の姿であり、そこでひたむきに生きる人々の姿でした。自然の風景や風は言葉になら

ない何かを伝えてくれます。しかし、そこに暮らす人々がいるからこそ、私は訪ねたくなるの

です。そしてまた、ネイティブ・アメリカンの世界へ。


私にはたくさんのナバホの友人がいます。彼らの暮らしは決して豊かではありません。国か

らの援助があるので食べていくには困りませんが、それはまた彼らのフラストレーションの種

でもあります。そういう事情を抱えながらも、彼らは自然と同化するような生き方をとろうと努

めています。やはり旅は人なり、です。この本を書くきっかけになったのも、ナバホの青年で

あるスタンリーとの出会いでした。彼らと生活しているうちに、私はネイティブ・アメリカンの

世界に魅せられ、旅人としてそれを伝えたいと思ったのでした。


 


目次

はじめに「ネイティブ・アメリカンとの出会い」

ある青年との出会い

ウインドウロックへ

インディアン青年、スタンリー


パレードに参加

荒野のナイト・ドライブ

ナバホ・インディアンの挨拶

パレード、道化との出会い


インディアンの誇り

インディアンはバッファローとともに

ネイティブ・アメリカンのバスタイム


大地に感謝して生きる人たち

ホーガンを建てること

さまざまなインディアンの住居

日本のしきたり、ナバホのしきたり


メディスンマンの感性

メディスンマンとの出会い

メディスンマンの薬草探し

ネイティブ・アメリカンと環境問題


もたざる者の知恵

アウトドアの源流

ネイティブ・アメリカンたちは何を食べていたか

インディアン料理をつくろう!

慎みは、もたざる者の知恵の財産


ふだん着のナバホマンたち

家族の感情、民族の事情

ナバホマンたちからのプレゼント

映画のワンシーンのような体験

ネイティブ・アメリカンであることの誇り


知恵の宝庫

日本の遊びとインディアンの遊び

ネイティブ・アメリカンの遊びから生まれたスポーツ


風を聴き、雲に棲む人々

謎の多い種族“アナサジ”

ホピ族の祭り、カチーナの踊り

スカイシティーの隠し階段

ズーニの村での意外な発見

インディアン・ジュエリーの意味


アパッチ族の英雄

アパッチ族の英雄、ジェロニモ

ホワイト・リバーのアパッチ村

アパッチ村の幽霊

異常気象で危機一髪


サンタフェは文化の香り

異文化が溶け合う街、サンタフェ

レター・フロム・サンタフェ

ネイティブ・アメリカンの儀式


グランドキャニオンと狼煙

グランドキャニオンの感動

アメリカでも日本人は・・・・

グランドキャニオン恐るべし!


多くを求めない民族

車社会アメリカの一断面

ネイティブ・アメリカンにとって馬は


死は終わりでなく

インディアン・ファッションの意味

ネイティブ・アメリカンにとって死は

アメリカはインディアンに学んだ


生活に根づく創世神話

ナバホの創世神話とキリスト教

「ナバホ創世神話」

世界のはじまり

双生児の怪物退治

ナバホ族の産みなおし


レインボウブリッジ物語

スタンリーとの約束

「レインボウブリッジ物語」

少年は荒野で何を見るのか


あとがきにかえて「スタンリー・ペリーとケーロンに」

参考文献一覧








アメリカ・インディアン(アメリカ先住民)に関する文献

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