「メディスン・カード」

ジェイミー・サムズ & ディビッド・カーソン著 小林加奈子訳 VOICE


 







本書 はじめに より引用



ふたりが長い年月かけて人間の教師たちと動物王国の住人たちから学んだメディスンの教えを、

集合意識全体のために公表すべきだと私たちは感じた。教師の氏族であるウルフ・ファミリーの

精神にのっとり私たちが選択したのは、誰もがアニマル・メディスンの助けを借りながら、独自の

道を発見できる道具を提供することだった。



アニマル・メディスンの教えは各部族で多少異なる。従って本書で紹介するのはそのごく一部、つ

まり、地上の全存在とひとつになる道を探求する者の参考となるアニマル・メディスンの側面にす

ぎない。教えは自然を通して来る。そして生命あるものはすべて、再び自然へと帰る。全創造物

はそれぞれが、聖なるメディスン・ホイールの中に欠けがえのない位置と役目を占める。



チョクトウ族、ラコタ族、セネカ族、アズテク族、ヤキ族、シャイアン族、チェロキー族、イロコイ族、

マヤ文化、の伝統的教えをその長老たちから直接に授かったのは幸運であった。各部族・伝統

により教えは多様であるため、本書で扱う内容は各教え本来の深さに比して、ほんの表層部分で

ある。アニマル・メディスンに関する教えをことごとく網羅するのが本書作成の目的ではない。これ

まで母なる大地との、また大地のあらゆる住人たちとの連体を理解せずにいた多くの人間に、連

体のプロセスを開始する「きっかけ」を作るのが目的だ。それがシャーマンとして、ヒーラー(癒す

人)としての私たちの意図である。全生命との一体感を探求する者たちに、本書が新たな理解の

扉を開く道具となれば幸いである。



私たちのビジョンは、「母なる大地の上で調和を持って歩く」意味を楽しみながら理解するための

架け橋となることだ。著者ふたりのパワー・アニマル(守護動物)も夢を通して私たちに語りかけ、

「全生命は神聖である」という認識を世界に広め、各生命が学ぶべきレッスンを知る助けをせよ

と私たちに求めた。



本書を作成する過程自体が偉大なメディスンの教えであり、喜びに満ちた旅でもあった。これは

四本足の生き物と、地を這う生き物と、ヒレある生き物と、翼ある生き物から人間に送られた無償

の贈り物(give-away)である。この無償の贈り物が、触れる人すべての人生を豊かにし、ともに旅

する仲間が私たちの愛を感じてくれることを祈る



四方向の風、ジェイミー・サムズ&ディビッド・カーソン


 
 


アニマル・メディスン 本書より引用



ネイティブ・アメリカンに伝わるメディスンの概念を理解するためには、「メディスン(医術、医学、

薬、魔法、魔術、神聖な儀式)」という言葉を再定義しなくてはならない。本書で「メディスン」とは、

各個人と大いなる神秘(the Great Mystery)との絆、および各個人と全生命との繋がりを向上

させるあらゆる要素を指す。肉体と思考と精神を癒す術はすべてメディスンである。母なる大地

へ、そして友人、知人、家族、その他大地を共有するあらゆる仲間たちに絶えずヒーリング(癒

し)を起こす生き方はメディスンである。ネイティブ・アメリカン式メディスンの真髄は「宇宙との完

璧な調和を保って母なる大地の上を歩く生き方」であるから、すべてを含んだ「人生の道程」が

そのままメディスンである。



人生のレッスンを機敏に捕らえる目を持っていたら、人間の仲間である生き物たちが見せる習

性や行動パターンに、ヒーリングのメッセージを読み取ることができるだろう。真実のメディスン

という貴重なギフトは無料なのだ。各レッスンはひとつずつ、主要な教えを提供する。その教え

をわかりやすく単純化するために、一匹のアニマルがひとつの教えを担当する。その気になれ

ば、どのアニマルからも無数のレッスンを学べるのだが・・・・。各レッスンは、私たちが呼び出し

て利用できるパワーを示してもいる。



あるアニマルのパワーを呼び出す行為は、その動物の本質(強さ)とひとつになる欲求を示す

行為だ。動物王国の兄弟姉妹を理解するプロセスは、ヒーリングのプロセスである。このプロ

セスには謙虚さと直感を持ってアプローチしなければならない。各々の魂が良い赤い道( the

God Red Road)の上で学ぶ必要があるレッスンはおのずと選ばれ、兄弟姉妹がそのレッスン

を見せてくれる。これは人間になるレッスン、無防備になるレッスン、神聖な存在と一体感を探

求するレッスンである。レッスンはパワーの道の道標だ。大いなる神秘の内で己が果たすべき

役割を知り、すべての生命を教師として敬う時、知恵と理解がパワーに変わる。レッスンは無

限であり永遠に続く。学びが終れば魔法も寿命も終わる。



本書が提示できるのは、直感を育て、自然界の真実を探求し、大いなる神秘の内に生きる創

造物たちと繋がり、沈黙の中に見えるものを観察する方法のほんの一面である。頭の中のお

しゃべりが止んで沈黙が訪れる時、初めて受け取る準備ができる。受け取ること、つまり受容

の精神は、神聖で豊かな恵みである。沈黙してカードを引けば、「不思議な新世界」が動物王

国の兄弟姉妹を通してあなたに話しかける。



独特な方法でパワーの道を語るアニマルもいる。強い絆を感じるアニマルがいたら、彼らは

パワーの援軍だ。あなたに特別意味のあるメディスンを携えている。「もっと知りたい」とあな

たが望めば、ドリームタイム(Dreamtime 夢時間。日常レベルとは別の次元。別の時間の流

れが進行する別の空間)であなたを訪問するだろう。彼らはあなたの成長を助ける教師だ。

それぞれのアニマルが生まれ持つ習性は変えようがない。その習性から得る学びをあなたを

大地と、パワー・アニマルと、大いなる神秘に接続する。



メディスンの道を歩く者には、人生の最も適した時を選んでパワー・アニマルが意識の領域に

現れる。そしてヒーリングを促す。パワー・アニマルとの遭遇は、アニマル・メディスンの道にあ

る通過儀礼のひとつだ。ヒーラーが大きなパワーを得るのもこの時である。



相手が人間であれ動物であれ自然界の脅威であれ、「何か」からメディスンを授かろうとする

時には「敬意を払い慎んで援助を乞う」態度を守らねばならない。たとえばネイティブ・アメリ

カンの子供たちが迷子になると、「こんな時は両親のメディスンを呼べばいいのだ」と知って

いる。すると肉体はなくとも、両親の力がそこに来て子供たちを守る。一方両親は、子供たち

が自分を呼ぶ声を感じると魂の目で子供たちの見ている風景を見て、その居場所を特定す

る。この種のパワーは一体感、つまり「各個人の内部には他の全員と共有している部分が備

わる」という考えの上に成り立つ。これが「一体感の法則」である。



特定の才能を使う必要に迫られた時、その才能に対応するアニマルのパワーやメディスン

を呼び出すのも可能だ。宇宙に存在するすべてはひとつの基本構造・原子・から成るのだか

ら、「私たちは互いに原子という共通単位を通してコミュニケーションする」と仮定してもあな

がち唐突とは言えない。原子とは大いなる神秘の内で活動する創造の源だ。別の言葉で言

えば、グレート・スピリットである。このような真実を教える伝統が、ネイティブ・アメリカンを知

恵に導いた。同じ真実が、あなたのために知恵の扉を開くことを祈る。


 


メディスン・ホイール



あらゆる空間は神聖である。母なる大地のどの場所も、何らかの生き物と特定のエネルギーで

結ばれている。故に大地のどこにいても、その場所に敬意を払うべきである。この思想を目に見

える形にしたのがメディスン・ホイールだ。メディスン・ホイールを設置した場所では神聖な儀式を

執り行うことができる。大きめの石を12個、時計の文字盤のように円形に置いて置く。南は子供

の場所、生命が始まる場所、西に向かって順に石を置き、北、東へと進み、南に戻る。東を最後

にするのは精霊が東の門から入り、輪の内側の空間を満たすからだ。「光明」へ至る金色の門

は東の門だ輪を閉じる最後の石たちを置く時は「私たちが互いに愛し尊敬し合えるよう、この空

間を精霊の存在で満たしてください」と祈ろう。これが伝統的なメディスン・ホイールの創り方の一

例だ。他の方法もある。



メディスン・ホイールはすべての動物たち、石の人たち、母なる大地、父なる大空、祖父なる太陽、

祖母なる月、空の世界、星の国、地下の住人たち、立つ人たち(樹木)、二本足たち(人間)、翼

ある兄弟姉妹、轟く者たち(雷、稲妻、雨の精霊)のエネルギーをひとつに集めるためにある。ネ

イティブ・アメリカンはこのような存在すべてを同朋と考える。



儀式とは感謝を表すチャント(詠唱)、ダンス、式次第を通じて全生命との絆を確認し尊重する

手段だ。儀式は常にグレート・スピリットと大いなる神秘のガイドの許に執り行われる。



メディスン・ホイールは生命の輪だ。生命の輪は無限に進化し、新たなレッスンと真実を連れて

くる。「私たちは誰でも、人生という輪の中のあらゆる位置を幾度となく体験し、各方角をすべて

敬わなければならない」と理解することが大地の旅の基本である。「他人の立場に立つ」、つま

り輪のさまざまな位置を歩かなければ、他人の本当の気持ちをわかりはしない。



メディスン・ホイールはどのレッスン、才能、能力も等しく価値があると教える。生命あるものは

誰も、いつか輪のすべての位置を体験し、それぞれの位置にある真実を知る。メディスン・ホ

イルは真実と平和と調和へ向かう道である。輪に終わりがないように、生命にも終わりはない。



「良い赤い道」を歩く時、人は物質的生命(人間)としての体験を学ぶ。この道はメディスン・ホ

イールを南から北へ走る。死という形でこの道を卒業した後、人は「青い道」あるいは「黒い道」

と呼ばれる道へと進む。これは祖父母たちの世界だ。そこでは「良い赤い道」を歩く者たちに

精霊として助言する、という形でさらに学び続ける。「精霊の青い道」は東から西へと走る。メ

ディスン・ホイールは人生、死後の生活、再誕生を象徴し、歩む道で出会う全部のステップが

大切だと思い出すための形なのだ。








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