
「増補 米国先住民の歴史」
インディアンと呼ばれた人びとの苦難・抵抗・希望
清水和久著 明石書店 より

「インディアン全部族連合の宣言」 1969-1970
1969年11月10日、インディアンの若者14人が、サンフランシスコ湾に浮かぶ元刑務所が
あった小さなアルカトラズ島に上陸し、領有を主張した。ここで彼らが発表した要請文や訴え
は、当時の学園闘争い影響されたとは言え、「法律と秩序」をかかげていたニクソン大統領へ
の反発も示されていた。彼らは元刑務所の壁に赤いペンキで「死よりも赤(インディアン)を選
ぶ」と記し、われわれはインディアン(レッド・スキン)として生きつづける、滅ぼされはしないぞ
という決意を表明した。この若者たちのアルカトラズ島占拠は、多くのインディアンの共感を
呼び、米国各地からいろいろな部族が訪れ、多いときで老人、子供を含めた600人が生活
した。白人たちからも支持や共感、同情が寄せられ、心ある白人たちはインディアンの境遇
に心を痛めていた。このような世論の盛り上がりに連邦政府もカリフォルニア州当局も力を
使っての排除をためらっていたが、1971年6月11日、武装警官により退去させられた。
(同著より要約)
インディアン全部族連合は、全アメリカ大陸に住むわれわれすべての兄弟、姉妹たちに対し
て、インディアンの団結に向けてのわれわれの訴えと誓いを耳に傾けるよう呼びかける。
いまやすべてのインディアンが同胞として団結し、この団結によって全インディアンの当面
の要求を明示すべきである。アルカトラズ島占拠の行動は、われわれすべてのインディア
ンが久しく夢みてきた団結の思想の出発を告げるものだった。これまで、数多くのインディ
アンの組織がこの団結の思想にもとづいて誕生したが、衰退したり、消滅したり、あるいは
官僚による操作や怠慢の網の目に巻きこまれていった。いまや明らかになったことは、こ
うしたたくさんの組織が団結の思想という最も大切なものを欠いていたこと、つまり、全イ
ンディアンの向上にいっさいの努力を捧げるという思想を欠いていたことである・・・・・・・。
若者はこの団結のための闘争において妥協を許さない。個人あるいは部族を問わず、
すべてのインディアンの問題は、すべてのインディアンによって共有されねばならない。
団結にとって絶好の機会であるいま、孤立分散は民族としての消滅を意味する。居住地
や都市での要求、条約によって保障されたわれわれの土地および不法に取り上げられた
土地の返還、子供たちのための新しい教育制度の導入 --- これらはわれわれの要求の
ごく一部にすぎない。民主主義はわれわれインディアンには決して認められなかった。
過去には皆殺しが、そしてそのあとは現在まで、もっと手の込んだ手段による皆殺しが、
米国政府の政策として一貫してきた。終結、都市への転住、同化、これらが現在の皆殺
し政策の手段なのである。大地や部族との文化的絆をすべて断ち切ることが、われわ
れを破壊する手段として現在用いられている。分割して征服せよ、これが書かれざる
法律なのである。どのような手段を用いるにしても、分割して征服せよが、政府首脳の
指令によって実行されている。インディアン総務局がおこなっている思想の注入と洗脳
による従順なインディアンの育成、アンクル・トマホーク化がそれである。われわれの
祖先の名は、全米にわたって血に染まって記録されている。米国全土に軍事的虐殺が
もたらした墓場が存在する。米国の地表には無数の「涙の旅」の傷跡が深く刻まれ、
永久に消えることはない。神聖な土地を守るために命を捧げたインディアンの数は
天空の星と等しく、数えることは不可能である。彼らの霊はわれわれの胸深く宿って
いる。彼らの死を忘れ去ってはならない。われわれは団結する! いっさいの妥協を
拒む。米国は、いま世界の眼の前で、われわれインディアン、全部族へ与えたあまた
の損害を償う道徳的義務を負っている。われわれは遠い祖先からの英知にもとづき
新しい生活と新しい哲学を築きあげる。われわれは団結し、その団結の力によって、
耳と心を石のようにしてきた人びとにもわれわれの声を響かせる。団結によって、条約
が保障するわれわれの土地の返還は実現するだろう。われわれは貪欲な民ではなく、
正義はわれわれのものなのだ。われわれ不滅の民の太鼓の響きは、再びわれわれの
土地に鳴りわたり、消えることはないだろう。母なる大地はわれわれの団結を待ち望ん
でいる。神聖なる金輪は、われわれの団結した勇気という腱で結びつけさえすれば十
分である。平和の樹は永遠に緑であり、高くそびえたつだろう。われわれの子供たち
は自由と正義を知るだろう。」