インディアンの歴史と現在を知る文献




インディアンが受けた悲劇的な歴史を綿密な調査を基に記した本は

数多くある。「我が魂を聖地に埋めよ」は詳しい資料を基に書かれた

名著であり、「アメリカ・インディアン悲史」及び「アメリカ・インディアン

死闘の歴史」「アメリカ・インディアンの歴史」も胸を打つ力作である。

当時のインディアンの生活の様子を当時の絵などで紹介した「アメリカ

インディアン」などや、ある部族に的を絞ってその悲劇を綴った「そして

名前だけが残った」がある。そして現在も多くのインディアンは社会的・

精神的危機に瀕しており、「アメリカ・インディアンの現在」「白人の国、

インディアンの国土」には、現在のインディアンの置かれている状況を

詳しく考察している。白人開拓民の視点から描かれた「大草原の小さ

な旅」はNHKで放映された「大草原の小さな家」のインガルス家を舞台

に当時のインディアンの視点をも踏まえて書かれたものである。


赤いタイトルの文献は全国学校図書館推薦図書です。






我が魂を聖地に埋めよ アメリカ・インディアン悲史
アメリカ・インディアン 死闘の歴史 アメリカ・インディアン 奪われた大地 
そして名前だけが残った アメリカ・インディアンの現在
白人の国、インディアンの国土 アメリカ先住民の子供たち
アメリカ・インディアンの歴史  大草原の小さな旅 
写真集 世界の先住民族 危機に立つ人々 ハウ・コラ 大平原のスー族 
増補 米国先住民の歴史 ネイティヴ・アメリカン 写真で綴る北アメリカ先住民史
ネイティヴ・アメリカンの文学(未読) アメリカ先住民アリゾナ・フェニックス・インディアン学校(未読) 
森林インディアン イロクォイ族の闘い(未読) アリストテレスとアメリカ・インディアン(未読)
ウインター・カウント(未読) この大地、わが大地(未読)
ゴースト・ダンス(未読) アメリカ先住民ウエスタン・ショショニの歴史(未読)
アメリカ・インディアン史(未読) 奪われた大陸(未読)
アメリカ先住民の貢献(未読) 先住民族 コロンブスと闘う人びとの歴史と現在(未読)
アメリカ神話の解体 赤人革命論(未読) リムーヴァルズ 先住民と十九世紀アメリカ作家たち(未読)
変貌する大地(未読) 大地の手のなかで アメリカ先住民文学(未読)
アメリカ先住民 民族再生にむけて(未読) 太ったインディアンの警告(未読)
ネイティブ・アメリカンの世界(未読) コロンブスが来てから 先住民の歴史と未来(未読)
アメリカ・インディアン その生活と文化(未読) ズニ族の謎(未読)

各文献の前のをクリックすると表紙並びに引用文が出ます。







この文献の詳細ページへ 「わが魂を聖地に埋めよ」 上下巻

アメリカ・インディアン闘争史

ディー・ブラウン 著 鈴木主税 訳 草思社



真のアメリカの歴史を綴った名著。栄光の西部開拓の裏で何が

行われたのかをこの本は暴露している。そこには人間とも思わ

れない白人によって繰り返されるインディアンへの虐殺の歴史が

緻密な記録をもとに描かれ、またどのような迫害にあっても白人

との共存を模索していた崇高なインディアン首長の姿を見ること

が出来るであろう。このインディアンの側から書かれた真の歴史

書は1970年に出版されたものであるが、アメリカという国で何が

行われ、かつ日本においてもアイヌや沖縄の人々に多くの屈辱を

与えてきた私たち文明人のもつ残虐性の正体を今こそ、自ら問

うことが出来なければ、この世界は永久に光を失うかもしれない。



これは、インディアンの側から19世紀後半のアメリカ西部の歴史

である。この半世紀の間に西部の開拓は完了したがそれは同時

にインディアン征服の完了とも重なっている。すなわち1890年の

ウーンデッド・ニーの虐殺をもってインディアンの組織的抵抗は

終わりをとげ、同時にフロンティアも消滅した。1860年からわず

か30年間にシャイアン、ユート、アパッチ、スー、コマンチ、ナヴ

ァホ、カイオワ、アラパホの各部族は次々と滅ぼされた。白人に

とって土着アメリカ人であるインディアンとは、開拓されるべき自

然の一部であり、物理的に排除されるべきものでしかなかった。

フロンティア開拓にまつわる神話をアメリカ史はほこりとしている。

だがそこに犠牲となったインディアンの声がきかれることはまれ

である。著者は条約会議でのインディアンの発言の速記録などを

もとに本書をかきあげた。彼らの言葉は雄弁であり、詩的でさえ

あり、そのいたましい歴史とともにわたしたちの心を打たずには

おかない。・・・・・・・・・・・・・・・・本書より


われわれが何者であり、何をやってきたのか、またそれはなぜなのか、

われわれはほうんとうには知らなかったのだ。(ニューズ・ウィークより)






この文献の詳細ページへ  「アメリカ・インディアン悲史」 

藤永茂著 朝日新聞社



「人間の平等と権利を謳って新天地に挑み、繁栄を築いた栄光のアメリカ史の裏に

この残虐。土地と生命と、そして精神を圧殺したその傲慢さは、決して過去のもの

ではない。」と著者は断罪しているが、このインディアンに加えられた残虐さと、

それを基盤にして発展してきたアメリカという国に対して言い知れぬ憤りを覚えて

ならなかった。白人だけでなく、我々文明人と言われる人々が世界中の多くの高貴

な精神文化を踏みにじり、それによって豊かな、そして快適な生活を獲得してきた

ことへの反省は現在においても殆ど見られていない。文明人という輝かしい表の顔

の下に潜む残虐・傲慢さの正体が、この書を通して明らかにされ、今後のあるべき

社会とはどのようなものかを痛烈な自己批判の中に自らを置いて、考えなければな

らないし、決して彼ら先住民族の払った大きな犠牲を葬り去ることは許されない。



雑記帳・「魅せられたもの」1997.5/18「真の文明とは」を参照されたし





この文献の詳細ページへ  「アメリカ・インディアン死闘の歴史」

スーザン・小山 著 三一書房

       全国学校図書館推薦図書



アメリカに渡り、インディアンに惹かれ多くの文献を書き記している著者が

描く平原インディアン(ダコタ・シャイアン・アラバホ・クロウ族)の終焉の物語。

本書の中に描かれた人間とも思えない白人達のインディアンに対しての虐殺

の歴史を見るにつけ、また歴史を自分の都合のいいようにしか語ることが出

来ない現在のアメリカの欺瞞に満ちた視点に触れると、この国には真の自由

と正義は存在していないと言わざるをえない。貧困に喘いでいるインディアンの

居留地に対してカジノ(賭博場)を例外的に認め、彼らの生活水準を引き上げ

ようとする短絡的な手法しか浮かばない白人へ怒りを覚えるのは私だけであろ

うか。どこまで彼らインディアンの崇高な精神文化を破壊したら気が済むのだ

ろう。そして本書「死闘の歴史」の中に出て来る平原インディアンの英雄の崇高

な精神と対比する時、神に最も近くに生きた人びとの悲劇的な物語を忘れ去る

ことは決して許されないだろう。日本に生れアメリカに渡った著者による力作で

すが、この文献は直販のみの扱いとなっておりますので、三一書房労働組合に

注文してくださればと思います。電話 03−3812−3132


スーザン小山の本場アメリカンインディアンホームページ

コロラド州在住の著作家、アメリカ・インディアン研究家、スーザン小山さんが新たにホーム

ページを創りました。スーザン小山さんは多くのインディアンに関する書籍を出版し日本に紹介

しておられる方で、「アメリカ・インディアン 死闘の歴史」並びに「大草原の小さな旅」は全国

学校図書館推薦図書に選ばれた文献で、その他にも「インディアン・カントリー 心の紀行」

「白人の国、インディアンの国土」があります。特に「アメリカ・インディアン 死闘の歴史」は、

平原インディアン(ダコタ・シャイアン・アラバホ・クロウ族)の終焉の物語を描いた力作です。

また、西欧でベストセラーになり、来日し講演したこともあるインディアンのロス博士の著作

「我らみな同胞」をも翻訳されております。このスーザン小山さんの総合ホームページの中の

「アメリカインディアンの歴史と文化のページ」では、興味深い記事が掲載されており、「環境

破壊ページ」では、絶滅動物が写真と共に詳しく紹介されています。私自身スーザン小山さん

から多くのことを教えていただいたり、何度となく励ましを受けてきました。このホームページ

はスーザン小山さんのそのような飾ることのない、温かい人柄を感じさせてくれます。





この文献の詳細ページへ 「アメリカ・インディアン - 奪われた大地」 

フィリップ・ジャカン著 富田虎男 監修 創元社



インディアンが白人によって、どれほどの血と涙を流したか、その歴史を記す。

本書には、多くの挿し絵や写真が使われているが、インディアンに魅せられた

画家のジョージ・カトリンの当時の様子を正確にスケッチした絵や各部族の

酋長の写真が数多く掲載されている。また現代のインディアンの置かれている

状況についても言及している。視覚的にも読みやすく工夫された書籍である。


1824年、アメリカ合衆国の静かな町フィラデルフィアは、ときならぬ出来事で

上から下への大騒ぎとなった。インディアンの族長たちの代表団がやってきた

からである。フィラデルフィアの人々は「平原の戦士たち」を見て肝をつぶした。

しかし、この一団を見て、文字通り魅了されてしまった男がいた。画家のジョー

ジ・カトリンである。それから6年後の1830年、カトリンはついに、インディアン

の国を目指して旅に出た。インディアンの地で、彼はくる日も来る日もスケッチ

をした。インディアンたちの儀式、日々の生活、狩りなど、そのどれもがカトリン

の目には魅力あふれるものとして映った。画家は同時に優れたレポーターとな

り、歴史家となり、民俗学者となった。彼が残した作品は、単なる過ぎ去った

時代と文化についての証言ではない。それは永遠の美にみごとに再現された、

インディアンの本質なのである。 (本書より引用)





この文献の詳細ページへ 「そして名前だけが残った」 

チェロキー・インディアン涙の旅路

アレックス・W・ビーラー著

片岡しのぶ訳 あすなろ書房



本書は1838年から39年にかけてチェロキー族を1600キロも

離れた土地に強制移住されるまでの記録である。当初この本

はテレビのドキュメンタリーとして発表されたものである。この

「涙の旅路」はインディアンの多くの悲劇の中でも多く語られて

いるものであるが、冬の寒さの中1600キロもの道を歩かされ、

四人に一人が途中で倒れていった。この監視にあたっていた

一人の兵士が後年この涙の旅路について本書の中で次のよ

うに語っている。「私は南北戦争でも戦い、弾丸にあたった人

間がこっぱみじんに吹っ飛ぶさまや、何千人という人間が死ん

でゆくさまをこの目で見たが、チェロキーの強制移住はそれよ

りはるかにむごたらしかった」と。そして今でもチェロキーの人

は、この残酷をきわめたこの旅を「涙の旅路」として記憶する。


「魅せられたもの」1997.5/4「チェロキーインディアンからのメッセージ」を参照されたし





この文献の詳細ページへ 「アメリカインディアンの現在」 

女が見た現代オグララ・ラコタ社会

デイ多佳子 著 第三書館



この本は現在インディアンが何の問題に直面し、解決の糸口を

どのように見出そうとしているのかを描いている力作である。イ

ンディアン社会において蔓延している数々の社会問題の原因

が何処にあり、今何をしなければならないのかをインディアンの

方たちとの関わりを通して核心に迫って行く。そしてインディアン

自身が(特に女性たち)力強く立ち上がろうとしている姿は、心を

打たれる。ウンデッド・ニーの虐殺の後ブラック・エルクは「神聖

神な木は枯れてしまった」と言ったが、そこから力強い芽が新た

に産まれつつあるのだ。インディアンの歴史に刻み込まれた悲

劇と現在の絶望的な状況からも必死になって立ち上がろうとす

るインディアンの姿は、この物質文明に染まってしまったこの世

界の数少ない希望の光である。


「アメリカ・インディアン女性への賛歌」参照されたし

 ネイティブアメリカン・リプロダクティブ権連合の宣誓文を参照されたし





この文献の詳細ページへ 「白人の国、インディアンの国土」 

正義と賭博と部族国家

スーザン・小山 著 三一書房



「連邦政府の介入と州政府の対立・抗争のはざまのなかで放置され

犠牲にされてきたインディアンとアメリカ司法制度の問題点を明らか

にしていく(同著・帯文より)」この書は、現代においてもインディアン

が絶えず社会的にも文化的にも白人からの迫害にさらされている

現実を問い掛け、アメリカ社会に潜む暗部を明らかにしていくもの

である。またこの書はインディアンに関心のある方たちだけでなく、

アメリカという国、白人とは何者かを真に知りたい人にも読んでい

ただきたい本である。明治より「西洋に習え」を合い言葉に近代化

を進めてきた日本が陥っている「アメリカ・白人」という憧れの対象

の真の姿をこの本は良心を持って描き出しており、また移民として

著者を受け入れてくれた国の将来への期待とが交差しているから

である。この書は現在のインディアンが置かれている政治・司法・

社会的側面を考察している数少ない本の一つに数えられる。





この文献の詳細ページへ 「アメリカ先住民の子供たち」 

ハーシュフェルダー&R・スィンガー著

愛川信子訳 明石書店



インディアンの子供たちが最近学校で書いた詩や作文、62編

を収める。「アイデンティティ」「家族」「ふるさと」「しきたりと儀式」

「教育」「厳しい現実」の項目に記された現代の子供たちの想い。





 「アメリカ・インディアンの歴史[第3版]」 

富田虎男著 雄山閣出版



「”アメリカ・インディアン”とは、はたしてハリウッド製西部劇の描く

ような未開で野蛮なゆえに滅ぼされた過去の人なのであろうか?

本書は彼らの正当な歴史的役割を評価し、勝者のつくりあげた歴史

像の虚偽を追求する」と本書・帯文に書かれているように、多くの文

献を土台にして書かれた力作である。本書は「歴史公論」に連載さ

れたもので、植民地時代から19世紀後半のドーズ法やインディアン

再組織法などの矛盾を深く考察している。



このようにアメリカ独立革命は、一面でイギリス帝国の重商主義的

抑圧にたいするヨーロッパ系植民地人の独立と自由のための戦い

であったが、他面でその独立と自由の基礎となる西部の土地の支

配権を確立するため、そこに居住するインディアンの独立と自由を

侵す征服戦争でもあった。独立宣言でいう「すべての人」とは、理論

上はともかく、現実にはヨーロッパ系の住民のみをさし、インディアン

は黒人奴隷とともにこれにふくまれていなかった。むしろインディア

ンは、「すべての人」の「生命、自由、幸福の追求の権利」を脅かす

「残忍な蛮族」と位置づけられた。インディアンは、自らの独立と自

由を断固主張すればするほど、撲滅や追放の対象としてどこまでも

「追求」されたのである。(本書・第五章より)





この文献の詳細ページへ 「大草原の小さな旅」

 ロウラ・インガルス・ワイルダーと開拓の西部 

スーザン・小山著 三一書房

全国学校図書館推薦図書



日本では現在に至るまで何回もテレビで再放送された「大草原の小さな家」。

日本と大平原の共通分母を求め続けた著者が辿り着いた先が、インガルス家

の物語だった。本書は彼らインガルス家が生きた時代の時代背景や当時の

インディアンの視点を交差させながら、私たち日本人には距離的にも心理的

にも遠くかけ離れたこの物語を生き生きと甦らせることに成功している。原作

を読んだ方にとっては勿論のこと、テレビでしか見たことがない人にとっても、

この誠実に生きたインガルス家の物語をより深く、親近感をもって理解し直す

ことが出来るに違いない著作である。



「”小さな家”の物語は遠い昔の話です。こんにち私たちの生活も学校も、

なにもかもすっかり変ってしまいました。私は卵をフォークでかき混ぜたり、

ケロシン・ランプを掃除したりしたものですが、そんな時代から多くの歳月が

経ちました。なにもかも便利になって、学習も楽になりました。でも本当の

ことがらは少しも変っていません。いつも正直で誠実であることは一番大切

なことであり、むやみにものを欲しがらず、いまあるもののなかから最善の

効果を生み出すよう努めること、素朴な生活のなかに喜びを見いだすこと、

そしてものごとがうまくいかなくても決してくじけることなく勇気を持ち続ける

こと、そのようなことがらが大切であることは昔も今も変りはないのです。」

彼女にはロウズという一人娘がいた。だがジャーナリストとして成功した当

代の飛んでいる女だった娘には子供がなかった。だからロウラには血の

つながる孫はいない。だがそのかわりに、彼女にはあの愛すべき物語を

通じ、時間と空間を超えて心をつなげる何百、何千万もの孫がいる。その

孫たちにとって、彼女は絶え間なく西部開拓の物語を語り掛ける、永遠の

お婆ちゃんなのである。消費、消費の物質主義に明け暮れる今日の世界

に、あの素朴な自然主義、そしてアメリカを偉大な国として真の独立精神

を体現して生きたロウラの物語は、大人にも子供にも通ずる貴重な人生の

教訓を、いまも私達に呼びかけているのである。 (本書 第四章より)





この文献の詳細ページへ 「写真集 世界の先住民族 危機にたつ人びと」 

アート・デイヴィッドソン著 鈴木清史+中坪央暁訳

明石書店



本書を以下の人びとに捧げる。


民族と土地と生活を守るために、闘いながら死んでいった先住民族の人たちに。

世界中の子どもたちに。

世界の人びとが自分たちの生活様式で生きていくことができることを知ってもらうために。

(本書より・アート・デイヴィッドソン)



この名著から世界各地の先住民族と呼ばれる人びとの魂の叫びが聞こえてくる。

この中にはインディアンを始めとして、アマゾン、アンデス、チベット、アイヌ、サラ

ワク、インドネシア、アボリジニ、ブッシュマン、トゥアレグなど数多くの先住民族が

おり、今日どのような現実に置かれているのかを現地の先住民族の声と共に訴え

ている。その多くは文明人といわれる大地を憎む人々の野蛮さや傲慢さにより、絶

滅寸前に追い込まれている。一説によると現在でも世界各地で毎年約25万人の

先住民の方たちが殺されており、先住民独自の言葉の多くが次の世代には消えて

なくなっていくことだろう。そしてそれは私たち文明人の未来をも奪うことになってし

まうことを意味していることに気づきさえしない。先住民族は物質文明の流れに乗

れず溺れていった悲運の民族などではなく、私たちの未来を語る上での試金石な

のである。このかけがえのない先住民族の方たちの視点を失うこと、奪い取ること

こそ、自らのそして未来の世界・子孫への殺戮そのものなのであり、この世界を

破滅へと導いていくものだろう。しかしこの私たちに何が出来るというのだろう。

余りにも複雑化してしまった現代文明の中で、そしてその歯車の一部として動い

ている自分自身を振り返るとき、その無力感に囚われてしまうのも事実だ。ただ、

次の世代を荷う子どもたちに先住民族の方たちの視点・魂が宿ることを願ってい

きたい。たとえどのような世界が待ち受けようとも、このような魂と共に生きる子ど

もたちが、あるべき姿をした新しい世界を創造してゆくに違いない。





この文献の詳細ページへ 「ハウ・コラ 大平原のスー族」

横須賀孝弘著 日本放送出版協会



大平原に生きる北米インディアン・スー族の苦難の歴史と現状を、スー族の

立場から描いた文献で、歴史にその多くのページを割いて紹介している。

それと共に現在のスー族の一人ひとりのインディアンのあるがままの姿を

描き、彼らの聖なる儀式(ユイピ、サン・ダンス、赤い矢の儀式)や民族の

祭典パウワウの様子を詳しく描き出している。また本書はそれに留まら

ずインディアンを美化し神格化しすぎている最近の傾向にも一石を投じ、

その実像を著者なりに解釈している。この傾向はこの私のページでも当て

はまることだが、白人入植以降インディアンの部族間の対立・戦争は古き

時代のものとは異質なものとなってきたと私は捉えている。詳しくは「イン

ディアンの残虐性の真否」をお読みいただければと思うが、多くのインディ

アンの言葉に接するとき、私自身また著者とは違った想いを感じてならな

い。だが、近年のインディアンに関しての行き過ぎた美化が産みだした

弊害も存在することも事実であろう。それは「リトル・トリー」に象徴される

偽書において、インディアンの魂が商業主義に利用されていることがまず

上げられる。それは彼らが今でも虐げられている民族であることなど眼中

にはなく、自らの私腹を肥やすためだけに利用しているに過ぎない現実が

あり、このような偽書は精神世界と呼ばれる分野では顕著に見られる傾向

にある。私自身このホームページを通して主に白人入植以前のインディアン

の精神文化の実像を探っていきたいと思っている。そしてインディアンに限

らず先住民族が現在置かれている実状と何がそうさせたのかをも理解し、

私たちが歩むべき社会とはどのようなものでなくてはならないのを共に探っ

ていきたいと願っている。その為にもインディアンの実像をみなさま自身が自

らの手で確かめてみることが必要不可欠なのかも知れない。その意味で、

本書は美化されすぎている最近の出版界の傾向に、一石を投じた価値ある

文献と言えよう。そして、どんなに解釈や想いが異なろうが著者も私も彼ら

インディアンが好きなのだということを。



著者はNHKのテレビディレクターとして、「ウォッチング」「地球ファミリー」「生きもの地球

紀行」などの自然番組を中心に制作しており、著作家として「ハウ・コラ 大平原のスー族」

「北米インディアン生活術」。訳書に「大平原の戦士と女たち」「北米インディアン悲詩」(絶

版)、監修本に「北米インディアン生活誌」がある。尚、著者の横須賀孝弘さんは北米イン

ディアンに関する約350冊の文献の目録(1951-1998)を編集しており、彼らインディアンの

実像を理解しようと思う人たちには参考になるであろう。





この文献の詳細ページへ 「増補 米国先住民の歴史」

インディアンと呼ばれた人びとの苦難・抵抗・希望

清水和久著 明石書店



本書は「現代米国でインディアンであること」、「発見と征服」、「米国の独立と先住民」、

「“ジャクソン民主主義”の時代」、「抵抗・虐殺・囚人化」、「二十世紀の“インディアン

問題」、「死よりも赤を選ぶ」、「1970年代のインディアン」、「自決への道とアイデン

ティティ」の各章から構成されており、コロンブス以降のインディアンの苦難・抵抗・

希望をそれぞれの時代において詳しく描いている。特に1960年以降のインディアン

が苦難から立ち上がってゆく姿を、多くの記録や証言を基に追った文献である。


日本と世界各地での差別の実状を知る方法は、いくつも、たくさんある。差別や抑圧

をだれが、どのようにしてきたか。差別され、抑圧された人びとが、どのように我慢

し、抵抗してきたか、何を感じてきたか。この小さな本は、差別の実状を知る方法

を、米国の先住民、「インディアン」と呼ばれてきた人たちの経験にたずねている。

とくに、この人たちが考えてきたこと、口にし、身体で表現してきたことを重視してい

る。米国、とりわけ白人に代表される米国は、いまの私たちにとても近い。好ましい

ことではないけれども、事実である。日本人からは場所は遠くて、それなのに気持

ちの上ではとても近い米国、そこでのインディアンの経験が、私たち日本人にとって

役に立つと著者は信じている。この本は、引用が多いという点で、読みにくいかも

しれない。けれども、米国先住民の生の声を、できるだけそのまま日本の読者に

伝えることがいちばん大切だと、著者は考えてそうした。苦しめられ、しかし抵抗し

てきた人たちの訴えや叫び、嘆きと笑い、がんばりの声をそのとおりに自分の耳

に響かせるとき、読んで心の中におさめてあたためるとき、日本の差別されてきた

人びとに、新しい勇気が生まれるとき、仲介者としての著者は役目のすこしを果た

せたと思える。日本のいばった差別者、そして著者を含む無意識の差別者が、そ

れぞれにもうすこしやわらかい気持の持主になれる日を、早く引きよせたいと思っ

て、1985年の春から夏にかけて、この本を書いた。ご批判をお待ちする。

(本書・まえがきより)





この文献の詳細ページへ 「ネイティヴ・アメリカン」

写真で綴る北アメリカ先住民史

 アーリーン・ハーシュフェルダー著 日本語監修 猿谷要 

赤尾秀子・小野田和子訳 BL出版



インディアンの歴史を、これほど多くの貴重な写真・図で解説した文献はかつて日本

で発行されたことはなかったかも知れない。視覚的にもとても見やすく、インディアン

が辿ってきた苦難の道を振り返ることが出来るこの文献は、初めてインディアンに

関心を持つ人々にとって最良の文献の一つに数えられるのではと思う。私自身に

とっても、今まで見たことがない写真が数多く掲載されており、心を打たれてしまい

ました。4300円もする高価な文献ですが、それだけの価値はある文献ではないか

と感じています。ただこの本の編集をした方が書いたものかどうかはわかりません

が、「世界史のなかでもひときわ知的興味をそそる悲しみに満ちた彼らの歴史」とい

う紹介文の言葉に何か抵抗を感じずにはいられませんでした。


北アメリカの先住民たち、ネイティヴ・アメリカンは、1500年代初期にはじめて

ヨーロッパ人探検家と接触して以来、何百年にもわたり故郷を守る戦いをつづ

けてきました。本書は世界史のなかでもひときわ知的興味をそそる悲しみに満

ちた彼らの歴史を、16世紀から20世紀にいたるまで、時を追って詳細に綴り

ます。ヨーロッパからの移民がおしよせるなか、先住アメリカ人たちは白人文化

への同化を強制され、父祖伝来の土地を守るために戦い、現代でもなお、アメ

リカ社会の一員として、先祖から受け継いだ信念や風習を守りぬこうとしていま

す。本書は豊富な写真とわかりやすい解説に加え、ネイティヴ・アメリカンの居

住地域や戦場を地図で示し、胸をうつ先住民のことばを引用して、過去の事実

をいきいきといまによみがえらせています。(本書より引用)







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