「アメリカ先住民の貢献」

ジャック・M・ウェザーフォード著

小池佑二訳 パピルス より引用








本書 訳者あとがき より引用


「アメリカ先住民の貢献」は、この表題からも明らかなように、アメリカ大陸の先住民で

あるインディアンとかインディオと呼ばれる人々が、世界中に数多くの贈り物を与え、

いかに世界の文明の進歩に貢献したかについての著者の知見を、様々な方面から

叙述した著作である。1992年にコロンブスのアメリカ大陸「発見」からちょうど500年

を迎えたが、新大陸が旧大陸に及ぼした影響に関しては、これまで断片的な著作・

記述はあっても、本書のように多岐にわたる影響をまとめた著作はなかったと言えよ

う。その意味で、両大陸間の交流史に関する優れた書物ともなっている。米国で刊行

されると少なからぬ反響を呼び、この種の本としては異例の売行を示したというのも

うなずける。ところで、原題の「インディアン・ギヴァー」という言葉は、米口語で、「返

礼を目当てに(あるいはその品を返してもらうつもりで)贈り物をする人」を意味するの

だそうで、したがって著者は、こお否定的な言葉を逆手にとって自著のタイトルにし

ている。実際にはアメリカ大陸先住民は、世界の文明にあれほど貢献したにもかか

わらず、その功績が認められることもなく、却って虐待され無視されてきたのである。

(中略) さて、トウモロコシやジャガイモ、トマト、チリ、トウガラシ、タバコなどのアメリカ

大陸原産の作物が、ここ500年間に地球上の各地に広まり、旧大陸の住民も大いに

恩恵を蒙っていることは、よく知られた事実である。だが、アメリカ大陸の先住民が世界

に与えた贈り物は、そのような栽培植物だけに留まらない。著者はまずボリビアの

ポトシ鉱山の銀から説き起こし、北米の毛布、新大陸産の木綿、染料、ゴム、また

ジャガイモ、トウモロコシに加えて、やはりアメリカ大陸原産のマニオク、サツマイモ、

さらにはチリ・トウガラシ、トマトなどの野菜(調味料)にまで話が及んでいく。これらの

品々は、ヨーロッパにおいて資本主義の勃興、産業革命、人口増加、料理革命など

を惹き起こす重大な要因になったのである。一方、そのような原材料でなく、先住民

の農耕技術や社会形態の優れた特徴をも採りあげ、特に後者がヨーロッパ思想界や

ヨーロッパ入植者に与えた影響を詳述し、中でも北米のイロクォイ同盟の政治機構と

米国の憲法との間の密接なつながりに言及する。


 


目次

感謝の辞


第1章 銀と重金主義

第2章 海賊、奴隷制、そして企業の誕生

第3章 アメリカ大陸先住民の、商業化への道

第4章 食糧革命

第5章 先住民の農業技術

第6章 料理革命

第7章 自由、無政府主義、そして高貴な未開人

第8章 米国憲法を制定した先住民の父

第9章 赤い棒と革命

第10章 先住民の治療師

第11章 ドラッグ・コネクション

第12章 建築と都市計画

第13章 道案内

第14章 アメリカ大陸はいつ発見されるのであろうか


訳者あとがき

参考文献

索引








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