Edward S. Curtis's North American Indian (American Memory, Library of Congress)


アメリカ・インディアンの言葉




大地の未来のために ラッセル・ミーンズの言葉



物理学と自然科学は世の中を数学の方程式に変えてしまった。このような方法は

ずっと前から始まっている。デカルトは同様のことを文化についてやった。ジョン・

ロックは政治についてやり、アダム・スミスは経済について同じことをやった。これ

ら西欧の思想家たちは、皆人間存在の精神性の一端を取って、それをコード化

し抽象物に置き換えた。・・・・宇宙のすばらしい複雑さと精神性を消し去り、その

かわりに彼らは論理の配列をもってきた。一、二、三、はい答えです!というわけ

だ。この欧米的考え方によれば、・・・・メカニカル(機械的)なものこそ完全なも

のであり、たまたまその時使われている機械的作用にうまく合うものこそ正しい

もの、という考え方がまかり通り、どう見てもインチキなものも正しいとされてしま

う。西欧的な思考は、昨日「真理」だったものが今日否定されてしまう。西欧的

思考によって出てくる答えは、仮りのもの、当面の間に合わせにすぎない。・・・・

西欧人が、かつて宇宙を理解する方法としていた宗教的考え方をこのように地上

の考え方に変え、それを「唯物論」といういい方にした。西欧人には、これは革命

なことだと思えるかも知れないが、我々アメリカン・インディアンには、ここにはう

んざりするほどくり返されてきたビーイング(今ここに在ること)とゲイニング(より

多く、より先への前進)との争いしか見えない。・・・・ビーイングは精神的なことが

らであり、ゲイニングは物質的行為だ。昔からアメリカン・インディアンは、いつで

もできる限りよい人間であるようにつとめてきた。この精神的プロセス(方法・過

程)の一部として、富を手離すこと、ゲイニングを否定し、そのために持っている

良い物を手離すことが、昔も今も行われる。富はうらやましいどころかむしろその

反対なのだ。西欧にとっては、「体制がうまくいっている」こととは、体制によって

より多くの富が手に入ることなのだ。明らかに、ここには私たちとまったく相反する

ものの見方がある。・・・・この西欧的な見方はどういう結果をもたらすか。戦争を

見よう。唯物論メカニズムは敵をものとみなす。相手を人間ではなくものと見て、

殺そうとどうしようとかまわないとする考え方のプロセスである。・・・・この考え方

では、今度は地球を破壊することも立派な行為だとされるようになる。例えば、

不動産屋が砂利をとるために地面を破壊することを「開発」だと主張するのであろ

う。この考え方では、全宇宙を狂気のおもむくまま「開発」していくことになる。

・・・・現実から精神性が抜き去られると、山や湖、それに人々、それらのあるが

まま(ビーイング)を眺めて、その美しさすばらしさに打たれることがなくなってし

まう。満足とはより多くのものを手に入れることとなり、そのためには、山は砂利

になり、湖は工場用水になっていく。利潤こそ彼らの倫理なのであるから。

・・・・だからウラン開発もこの生産力発展の倫理の中に当然のように組みこま

れてくるのだ。ウラン開発のためには、そこに住む人々が、国家のための犠牲

として抹殺されることが正当化される思想がまかり通るのだ。アメリカン・インデ

ィアンには別の道がある。それは、人間には母なる大地をはずかしめる権利が

ないことをわきまえた生き方である。大地(自然)には、西欧的思考ではおよび

もつかないいろいろな力があることを知っているやり方だ。人間はあらゆる縁あ

るものと調和して生きなければならないこと、もしその調和が破られれば、遅か

れ早かれその非調和は消し去られることを知っている道だ。・・・・人間はすべて

の生きものの中で一番弱い。あまり弱いから、私たちを生かすため他の生きもの

たちがそのいのちをくれる程だ。・・・・インディアンはこのことを忘れないように

している。だからシカがその肉を私たちに食べさせてくれるとき、私たちはシカに

感謝のいのりを捧げる。・・・・西欧人はシカを自分たちより低い生きものだと考え

る。合理主義と科学を通じて自分らは神のような存在だと考えているのだ。だか

ら他のあらゆるものは必然的に低い存在なのだ。・・・・ものみなの、そのつなが

りをこわそうとするとき、母なる大地をはずかしめるとき、こうしたことが永久に

つづくはずがない。どんな理論をもってきても、この簡単な事実をかえることは

できない。母なる大地は復しゅうする。すべての大自然は、そのつながりをこわ

したものへ、必ず復しゅうするのだ。    (弥永健一訳)








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