
「星の神話伝説集」
草下英明著 社会思想社
私達の幼い頃、よく耳にした童謡や俚諺に天体に関係のあるものが、いくつか
あった。うさぎ、うさぎ、何見てはねる。十五夜お月様見てはねる。あるいは、
「お月さんいくつ十三七つ、まだ年ゃ若いな」(実は、この童謡の正確な意味は
よく分かっていない)とか、「一番星見つけた。長者になあれ」などなど、なにげ
なく口づさんでいた言葉は、一体どういうことを物語ってくれているのか。神話
や伝説など、たいして深い意味は無い、他愛のないものだと思う人があったら、
それは大きな間違いである。科学的な価値など全く無いと思うのも、浅薄な見
方である。特に、天体に関しての神話や伝説は、なんらかの形で私達の遠い祖
先の、天体観や、夢、怖れ、美意識などを伝えてくれているのだ。決してなおざ
りにしてよいものでは無い。
この本では、従来比較的よく知られている星座に関するギリシャ神話はむしろ
二の次として、あまり知られていない、それ以外の神話伝説、特に日本や中国、
その他の国々のものを主として取り上げてみた。日本にも結構面白い伝説が
存在していて、ギリシャ神話などと不思議なつながりを感じさせるものがある。
あらためて、東西文化の交流問題を考えて頂いてもよいだろう。なお、ギリシャ
神話の神々の名や人名など、私自身が慣用している読み方を採用していただい
もので、原音に忠実でないとか誤りがあるといった点は、御覧恕頂きたいと思う。
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