「星空ウォッチング 」

沼澤茂美、脇屋奈々代 著

新星出版社








初心者特に都会近くに住んでいる人にとっては、多くの参考書はあまりにも詳し

すぎて逆にわからなくなってしまうことが良くあると思う。その点、この本は郊外

を基準として星空を解説しているので、実に探しやすくわかりやすいのではと

思う。またその星座にあるお勧めの天体の情報も詳しく、神話なども掲載されてい

る。最初に手にとる参考書の中では最も有益なものの一つである。

(K.K)





本書 はじめに 2008年4月30日 沼澤茂美 より抜粋引用

夜の帳がおりて地上の景色が表情を失うのに代わって、空には無数の星々が輝きだし

ます。月のない晴れた夜、空が澄んで人工の明かりのない場所に行けば、頭上には昼

の景色に勝るほどの多彩で美しい景観を目にすることができるでしょう。針で突いたよ

うな鋭い光を放つ星々ですが、その明るさはさまざまです。ギラギラと輝く明るいものか

ら、有るか無いかがはっきりしないような暗いものまであり、星空に変化と奥行きを与

えてくれています。明るい星々の並び、暗い星でも特徴ある連なりを目にすると、自然と

何かの形に見えてくるものです。そんなことから星座が誕生したというのが容易に理解

できるでしょう。


雨後の晴天や台風一過の澄んだ夜は、星々の輝きがいっそう強く大きく感じられて、空

が近くなったような錯覚を覚えます。高い山や離島で見る星空も同じような印象を与えて

くれます。そんな時に私たちの目を釘付けにするのは長大な天の川の流れです。特に夏

場に見ることのできる「夏の天の川」は、太く明るく大河のごとく天空を二分して地平線に

注ぎ込んでいます。澄んだ空の下に体感するその迫力は、たとえようがありません。そん

な星空をただ眺めているだけでも、心が浄化されるような気がしてきます。うれしいことに

夏の空を1時間も眺めていれば、10個以上の流れ星にも遭遇することができるでしょう。


もし星座をいくつか知っていれば、夜空の見方はだいぶ違ったものになります。星座を

覚えるには、目立った形や明るい星、また、今知っている星座を基準にたどっていくの

がコツですが、一晩と言わずに時折空を見上げてたどってみると、星座の位置の変化

とともにさまざまな興味も増してきて覚える星座も増えてくるはずです。何も描かれてい

ない夜空に神々の姿や生き物の姿が見えてくるようになるかもしれません。星空がさら

に身近に感じられ、夜空の変化から季節の移り変わりを、星の見え方からさまざまな

自然の息づかいを敏感に感じ取ることができるようになります。そして同じ空、その一

瞬が二度とないことを、その場の星空が一期一会の出会いであることを強く意識する

ようになります。


双眼鏡や望遠鏡があれば、さらに宇宙の実体にふれることもできます。叙情的な肉眼

の視点とは異なり、拡大して見る星空は、天球に張り付いた神話の世界を抜けて、何

百〜何億光年の星の集まった銀河の世界、多彩な表情の宇宙がいつも頭上に広がっ

ているのです。


本書は、星座の探し方を中心に、星座にまつわる神話、初心者にも楽しめるように星座

の中に点在する明るい天体の探し方と紹介を加えました。各季節の冒頭に、市街地で

見える星空と郊外の星空の2つの景観を示してるのも大きな特徴です。また、貴重な海

外旅行のひと味違った体験に役立つことを期待して、南半球の空、ハワイの空の紹介も

加えました。さまざまな条件の下で、多くの人が本書を片手に星空の魅力に浸ってくれる

ことを心から願っています。


 







双眼鏡で見る春の星空 双眼鏡で見る夏の星空

双眼鏡で見る秋の星空 双眼鏡で見る冬の星空

天体観測に適した小・中口径の双眼鏡

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