
「ホピ語辞典」
アメリカ・インディアン ホピ族の言語
戸部実之 泰流社より引用

それから20年目の今年、私は偶然、日本橋の丸善の書棚に、「ホピ語辞典」を
発見した。二、三度行ってみたが、薄い本が一冊一万円以上するので、誰も買
わない。私も金の持ちあわせがないので、見るだけであったが、とうとう、この
夏休みに、この辞書を入手した。5000語前後の単語が「ホピ語=英語」と「英
語=ホピ語」のアルファベット順に並べてある。20年前、アメリカ西部のホピ部
落であったホピ族の顔が頭の中に浮かび上がってきた。アフガン・ハウンドの
姿も思い出した。森林保安官の服装も浮かんできた。博物館で見たホピ族の
暮らしも想い出された。本書はアメリカの二人の学者が苦労して集めた辞書だ
が、ホピ語について、言語学や音声学からの研究成果が一つも書いていな
い。私には、インディアンと同じアジア人(モンゴロイド)として、彼らアメリカの
白人にはない別の方法論がある。単語を集めるには、アメリカ人の方が便利
であるが、その分析なら日本でも出来る。そう考えて、私は一夏をかけて、
この辞書の音韻分析にとりかかった。その結果をまとめて、付録とした。ささや
かな研究成果ではあるが、読者の参考になれば嬉しい。
1994年 戸部実之