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スピログラフ星雲(惑星状星雲 IC418)

ハッブルスペース望遠鏡最新画像のページ



さまざまな宝石の輝く光を一つに集めたような美しい星雲。この星雲はスピログラフ星雲と

呼ばれ、「うさぎ座」の方向2000光年の遠くに輝く惑星状星雲なんだ。今までに惑星状星

雲の姿は幾つか見てきたね。これは太陽と同じような質量を持つ星の寿命の最後を示して

いる姿なんだ。私たちの太陽のような星はその最後が近づくと、膨張し赤く低温な赤色巨星

となって輝く。そして赤色巨星はその外層部を少しずつ回りの宇宙空間に放出しはじめるん

だ。この放出されたガスが惑星状星雲を作るんだね、この画像の星雲の直径は0.1光年

の広がりを持つほど膨張している。そして外層部を失った赤色巨星の核の星は、高温の為

に強い紫外線を放射する白色矮星になっており、恒星の燃料とも言える水素を使い果たし

ている状態なんだ。つまり核融合反応が起こらなくなった星で、ガスの放出により大きさは

地球と同じくらいまで縮んでしまう。上の画像の美しい星雲、実はこの白色矮星から放射さ

れた紫外線がこの星雲をとても美しく輝かせているんだ。周りに広がるガス自体が光ってい

るわけではないんだね。今は明るく輝いているこの白色矮星は、数十億年をかけて少しずつ

冷えてゆき、宇宙の暗闇の中に沈んでしまうだろう。そしてその周りに広がる美しい星雲も、

次第に分散していく。私たちの太陽も今から50億年後にはこのような生涯を辿ると考えられ

ている。つまり太陽が50億年後、核融合反応の燃料の水素が少なくなりはじめ、もえかす

のヘリウムばかりが太陽の中心部に沈み込んでいく。このような状態になると太陽は膨張

し赤色巨星になる。その広がりは金星の近くまで達し、今の太陽の200倍ともなると考え

られている。そうなると勿論、水星と金星は太陽に飲みこまれ蒸発する。そして地球や火星

はひからびた高温の星になり、とても生命が住めるような惑星ではなくなってしまうんだ。そ

して今から70億年後、この赤色巨星から白色矮星になった太陽は次第に温度を下げ、

やがて冷たく暗い黒色矮星となって宇宙の暗闇にその姿を消していく。そんな運命をこの

美しい星雲が辿るとはとても考えられないね。でも死を目の前にしての最後の命の輝きな

のかも知れない。約120億年という長い生涯を一瞬に凝縮した輝き、それがこのスピロ

グラフ星雲と呼ばれる惑星状星雲なんだ。尚、星雲の中で赤く輝いている部分は電離窒素

からの放射を示し、星雲の中では最も温度が低いところ。緑の部分は水素からの放射で

あり、中心星の近くに輝く青色は電離酸素からもので星雲の中では最も高温な部分だよ。

でも、星雲の中に見られる模様の起源についてはまだわかっていない。




画面中央に見えるのがオリオン座で、冬の大三角が輝いている。左側の

「こいぬ座」のプロキオン、やや左下の「おおいぬ座」のシリウス、そして

オリオン座のベテルギウス。スピログラフ星雲(IC418)はオリオンの足

に輝いているくが、星座では「うさぎ座」に位置している。


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