「先住民族 - 地球環境の危機を語る」

インター・プレス・サービス編 清水和久訳 明石書店より








アメリカ・アベナキ族・・・ジョセフ・ブルチャックの言葉

ブラジル・テレナ・・・マルコス・テレナの言葉「森の声の歌をうたおう」

ペルー・ケチュア・・・サルバドール・パロミーノの言葉「ケチュアの宇宙」

フィリピン・アエタ族・・・パブロ・サントスの言葉

インド・チプコ・・・ラダー・バットの言葉「ヒマラヤからの声に耳を」

アフリカ・レソト王国・・・モシュシュ二世の言葉「自立への復帰」



現代世界を覆いつくしている環境危機は、西側の文化が地球に押しつけた

開発モデルがもたらした最も劇的な結果のひとつである。この開発モデル

は西側世界で生まれ育ち拡大した科学的・技術的基盤に固く根を下ろして

いる。約二世紀後 --- 西側モデルが第一次産業革命に発生したと理解す

るならば --- の現在、環境の悪化は地球とその住人に対する脅威として

広く認識されている。現在最も広く議論されている世界的問題といってまず

まちがいないだろう。しかし環境悪化の原因の究明や解決策の探求は、こ

の問題をそもそも発生させた枠組みの中でなされている。科学に重点を置

いた究明や探求の方法をとり、持続可能な開発なる旗を掲げて、これこそ

救いへの道の公式として打ちだすことは、開発モデルの行きすぎや欠点の

修正に重点をおくことである。すなわち、開発モデルそのものを問いなおす

ことが軽んじられているのである。持続可能な開発うんぬんの解決策は、

未来の世代の必要を充足するために、自然に対して回復不可能な損害を

与えないという企てである。開発モデルとその目標の基盤を根本的に変え

るものではない。モデルと目標、その基盤を守るための防壁を張りめぐら

そうという呼びかけにほかならない。したがって、環境の悪化を問題にする

ときは、西側の文化と西側以外の文化とを明確に区別するのが正しい。

伝統的な社会の文化は支配的な開発のパラダイムに目立った影響を与え

てこなかった。また、そうしたパラダイムの適用による直接の結果としての

環境の悪化に対しても、これという影響は及ぼさないできた。伝統的文化は

西側文化とは反対に、自然を神聖視している。その価値体系は環境危機を

招いた消費謳歌主義とは無縁であり、いわば何光年も遠く離れている。にも

かかわらず、伝統的社会の立場は環境に関する国際的議論では無視され

ている。その立場が採択される決定に反映されることを全く許されないでい

る。さらに、非西側の文化が人類の大多数を代表しているという事実を考慮

するならば、参加と情報の両面で、巨大な真空が存在することはあきらかで

ある。本書の目的は単純明白である。伝統的社会、母なる大地、母なる地球

というその哲学、人類と自然の関係についての哲学、伝統的生活様式の根底

にある価値体系、天然資源の乱開発の結果と影響、環境破壊への対処の

仕方などを提示する。 --- これが本書の目的である。本書を企画制作した

のは、第三世界インター・プレス・サービス社(IPS)の特別寄稿部である。

IPSは第三世界に関する報道にたずさわっており、もっぱら南の諸国、開発

問題、南北問題についての情報の提供に当たっている。低開発の結果につ

いての世界的な関心の増大、国際問題における南の不当に低い地位などと

共に、環境問題についての情報提供も、当然わがIPSの仕事である。世界大

で伝えられる情報はいちじるしく偏っている。工業化した豊かな北に有利な

情報、低開発の南には不利な情報という偏りが存在する。IPSはこうした偏り

の是正に寄与することを編集方針としてきた。この編集方針は、環境破壊に

ついての伝統的社会の権威ある代表の見解を集めた本書においても、当然

のことながら堅持されている。 ローマにて 1992年2月

パブロ・ピアチェンティーニ(インター・プレス・サービス特別寄稿部長)

(本書・編者まえがきより)







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