世界各地の先住民族の文献




人間が好き アマゾン先住民の叡智と喜びに満ちた素顔の写真集
パパラギ 西サモア酋長ツイアビが白人文明の真の姿を鋭く描く名著
絵本 パパラギ 名著「パパラギ」を子供でも読めるように工夫した絵本
炎の馬 アイヌの伝承世界に息づく豊穣な魂を綴った民話と神話集
クジラの消えた日 文字をもたない民チュクチ人に語り継がれた”大いなる愛”
ベロボディアの輪 シベリアのシャーマンとの驚くべき体験をした精神科医の記録
ラブ・ソトーリーを読む老人 アマゾンの豊潤な世界を舞台に、人間の野蛮さを静かに訴える
ミュータント・メッセージ 虚偽のアボリジニー<真実の人>部族との出会いと体験
生命の織物 世界各地の先住民族の深い洞察の言葉を集めた好著
森の暮らしの記憶 楽園の森が文明国の飽食の犠牲になった悲しい記憶の物語
アマゾンの呪術師 著名なシャーマンとして生きた男が語る、人間、宇宙、神秘
森と氷河と鯨 ワタリガラスの神話探求の旅が深い心の泉へと導かれる
鳥のように、川のように 森の哲人アユトン・クレナックが導くアマゾン先住民たちの叡智 
写真集 世界の先住民族
 危機にたつ人びと
先住民族と呼ばれる方たちの血と涙に満ちた魂の悲痛な叫び
先住民族
 地球環境の危機を語る
世界各地の先住民族の言葉一つ一つにほとばしる生命の輝き
アイヌ学の夜明け アイヌの古老や研究者との対談から人類のあるべき姿が見える
火の神の懐にて 古老を通して語られるアイヌの祈りと慈愛に満ちた豊かな世界観 
世界をささえる一本の木 ブラジル・インディオの人々に語り継がれてきた美しい神話と伝説
アイヌの碑 アイヌ民族の文化伝承に生涯を捧げている著者の自叙伝
アマゾン、インディオからの伝言  アマゾンに流される森と先住民の涙、精霊世界を綴った好著
マヤ文明 聖なる時間の書 時間が生命を持った創造的存在であるマヤ神秘思想を探る名著 
21世紀に残したい沖縄の民話 沖縄各地から聴取した七万話から選ばれた次の世代への贈り物
大地にしがみつけ
 ハワイ先住民女性の訴え
先住民の破滅や文化の売春を強要するハワイ観光産業への怒り
生命の大地(未読) アボリジニの景観、野生観、神話をを対話形式で記述し紹介する
夜明けへの道(未読) コロンブス新大陸発見は、殺戮という残酷な歴史の始まりだった
ソングライン(未読) アボリジニの「歌の道」には美しい夢があり、夢を辿った足跡があった 
精霊たちのメッセージ(未読) アボリジニが語りつぐ神話の世界観、生命観を体験する神話世界
もしみんながブッシュマンだったら 自閉症の息子と共にブッシュマンの世界に飛び込んだ人類学者の旅
エスキモーの民話(未読) エスキモーや北方インディアンの部族に語り継がれた多彩な民話。
精霊の呼び声(未読 恵まれた生活を捨て、著者が触れた神秘的なアンデスの信仰世界
シャーマンの弟子になった
 民族植物学者の話(未読)
自然保護の熱意を巧みな文才で綴った第一級の冒険旅行記。
 全世界でベストセラーになる。
「ユタ」の黄金言葉 沖縄・奄美のシャーマン(ユタ)たちが語る神の声
沖縄の宇宙像(未読) 古老から聞いた死と誕生、引導渡し、生贄、厄除けなどを語りつくす
グレートジャーニー
「原住民」の知恵(未読)
30年の冒険のなかで世界各地の先住民から教えられた知恵の数々。
奄美学 その地平と彼方(未読) 奄美の人が奄美を認識し自己を規定していく奄美学、その意味を問う。
図説 世界の先住民族(未読) 世界各地の先住民族の叡智を130点を超える写真・図版で紹介。
先住民族 
コロンブスと闘う人びとの歴史と現在(未読)
世界の先住民族の置かれている世界的状況とその歴史を包括する。
癒しのうた
マレーシア熱帯雨林にひびく音と身体(未読)
テミアーの音がもつ癒しが、身体と響きあうことへの民俗音楽学探求。
アボリジニー神話(未読) 動物の起源、創世神話など彼らの世界観を原型に近い形で採集した。

各文献の前のをクリックすると表紙並びに引用文が出ます。







この文献の詳細ページへ 「人間が好き」

アマゾン先住民からの伝言

 写真・文 長倉洋海 福音館書店 



この写真集はアマゾン・インディオの大地の恵みに囲まれて生きる彼らの

素朴な、そして雄弁で喜びに満ちた表情を追いかけた素晴らしい写真集

であるが、かつてアメリカ・インディアンもこのような生活を送っていたに

違いない。この写真集には短いながらも先住民の方たちが持つ世界観・

叡智が込められており、彼らの喜びの表情そのものの中に限りなく深い

精神の豊穣さを垣間見ることが出来る。文明とは何か、人生とは何かを

この写真集は訴えかけてやまない名著。



鳥のように 静かに地上におりたち

静かに 飛び去っていく

それが インディオの生きかた

アユトン・クレナック(アマゾン先住民)


「きみが微笑む時」子どもたちの微笑みがひらく、大地と地球の明日を参照されたし

「心に響く言葉」1998.5/08「人間が好き」を参照されたし

「アユトン・クレナックの言葉」を参照されたし

「鳥のように、川のように」森の哲人アユトンとの旅を参照されたし

「天空の果実」を参照されたし





この文献の詳細ページへ 「パパラギ」

 はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集 

エーリッヒ・ショイルマン 編 岡崎照男訳 立風書房




本書はアメリカ・インディアンに関する本ではないが、ツイアビの叡智あふれる言葉は

アメリカ・インディアンの魂そのものであるが故に、ここに紹介することにする。世界各

地にはエスキモー、アイヌなどの優れた精神文化の花を咲かせた民族が存在し、その

視点は不思議にも共鳴しあっている。本書のツイアビは、西サモアのウボル島の首長

であり、彼が西洋文明を見聞したことを自分の島の人々に演説するという形を取って

いる。ツイアビの鋭い、冷静な、そして先入観によって判断・観察しない視線がこのよ

うな素晴らしい芳香をともなった言葉として結実した本書は第一次世界大戦終結の

二年後の1920年に発行され、世界各国語に翻訳された名著である。・・・・・・



これは鋭い文明批評の書であり、同時に文化人類学的記録であるとも言える。また

これは一種のS.Fとして読むこともできれば、一巻の美しい詩集であるとも思える。

ポリネシアの酋長ツイアビの記した言葉は不思議な力に満ち、私たちの胸を打つ。

私たちは私たちの信じている(と思っている)もろもろの価値が、根本から否定され

るのを見て、恐ろしくなり、また愉快にも感じる。(谷川俊太郎)


雑記帳「魅せられたもの」1997.3/16「パパラギ」を参照されたし





この文献の詳細ページへ 「絵本 パパラギ」

 はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集 

構成・絵 和田誠 立風書房



「パパラギ」とは、サモアの言葉で「空の穴から来た人」という意味でした。その

むかし、サモアにはじめてやってきたヨーロッパ人の宣教師を乗せた船の白い

帆を遠くから見たサモアの人は、空にあいた穴だと思ったのです。そして、「空

の穴から来た人」は「白人」と同じ意味を持つようになりました。サモアの酋長

ツイアビは、1915年頃、ヨーロッパを旅して帰り、はじめて見たヨーロッパの

印象を、島の人びとに報告しました。その記録を、サモアで暮らしたことがあり、

酋長とも親交のあった詩人エーリッヒ・ショイルマンが翻訳して、スイスで出版

しました。1920年のことです。この本は1977年に復刊され、その4年後に、

日本でも岡崎照男さんの訳によって出版されました。もともと80年以上前の

報告で、それは第一次世界大戦の頃。映画はまだサイレントの時代でした。

日本で出版されてからも20年を過ぎています。けれどもこの報告の内容は少

しも古くなっていないばかりか、ますます私たちに大切なことを思い出させて

くれるでしょう。それに、「パパラギ」とは白人を指す言葉でしたが、今では私

たち日本人を含めて、先進国と呼ばれるすべての国の人びとがパパラギだと

言えます。(本書 あとがき 和田誠)より引用





この文献の詳細ページへ 「炎の馬」

アイヌ民話集

 萱野茂著 すずさわ書店 



自然とともに生きたアイヌの暮らしと精神文化の源流を伝承する30の

物語を収録する。アイヌが語りアイヌが記録した貴重なウウェペケレは

アイヌ初の国会議員となった萱野茂氏の代表作であるにとどまらず、

先住民族の方達が持つ豊穣な魂をより深く理解できる架け橋である。

多くの大人がこの非常に美しい物語を、未来を担う子供たちに読んで

あげることを切に願っています。アイヌの精神文化を詳しく知りたい方

は松居友氏の「火の神の懐にて」並びに梅原猛氏の「アイヌ学の夜明

け」を参考にしていただけたらと思います。また著者、萱野茂氏の半

生を記した書として「アイヌの碑」などがありますが、絵本では沙流川

を舞台にした竜神カンナカムイが語る「火の雨 氷の雨」があります。



神話学者のジョセフ・キャンベル「私たちには、時間という壁が消えて奇跡が現れる

神聖な場所が必要だ。今朝の新聞になにが載っていたか、友達はだれなのか、

だれに借りがあり、だれに貸しがあるのか、そんなことを一切忘れるような空間、

ないしは一日のうちのひとときがなくてはならない。本来の自分、自分の将来の姿

を純粋に経験し、引き出すことのできる場所だ。これは創造的な孵化場だ。はじめ

は何も起こりそうにもないが、もし自分の聖なる場所をもっていてそれを使うなら、

いつか何かが起こるだろう。人は聖地を創り出すことによって、動植物を神話化

することによって、その土地を自分のものにする。つまり、自分の住んでいる土地

を霊的な意味の深い場所に変えるのだ。(「旅をする木」星野道夫著より引用」





この文献の詳細ページへ 「クジラの消えた日」

 ユーリー・ルィトヘウ著 浅見昇吾訳 青山出版社 



シベリア北東のはずれ、チュクチ半島に住む少数民族に伝わる感動的な

創世神話の物語。「クジラと人間は仲間 クジラと人間は兄弟 海と陸の

兄弟 生まれたときから結ばれている 親愛なる永遠のつながり」という

太古の祖先からの神話を口承で代々語り継いできた。そこには生きとし

生きるもの全てにたいしての慈愛、「大いなる愛」が横たわっていた。や

がて人間だけが特別の力を授かった生き物だと信じる人によって、この

「大いなる愛」が壊されてゆく。1930年代まで文字を持たなかったチュ

クチ人から生まれたルィトヘウがこの神話に再び息を吹き込んだ傑作。





この文献の詳細ページへ 「ベロボディアの輪」

シベリア・シャーマンの智慧

 オルガ・カリティディ著 管靖彦訳 角川書店 



本書は最近、私の身に起こった出来事をつづった真実の物語である。

シベリアのノボシビルスクにある精神病院に勤務する私は、ある日、

心に悩みを抱える若者の訪問を受けた。それが事の発端だった。次

々に不思議な出来事が重なり、歴史的に神秘的な場所とみなされて

いるアルタイ山に導かれた私は、そこでシャーマンがするような驚く

べき体験をし、数々の神秘的な啓示を授けられたのである。(著者)



本書はカルロス・カスタネダがヤキ・インディアンの呪術師ドン・ファン

との出会いを描いた一連の書籍のロシア版と高く評価されているもの

で、シャーマニズムの本場とも言えるシベリアの古代の叡智を見事に

伝えることに成功している。本書の原題は「聖なる伝統の輪に入る」と

いう意味を持ち、著者の経験した驚くべき体験を通して読者を、聖な

る王国「ベロボディア」へとひきつけてゆく。


「シャーマニズム(シャーマン)に関する文献」の項目を参照されたし

1997.7/25 「インディアンの源流であるアニミズムとシャーマニズム」





この文献の詳細ページへ 「ラブ・ストーリーを読む老人」 

ルイス・セプルベダ著 旦啓介訳 新潮社



「人間たちと動物たち両方が生きられる世界というのはないのだろうか」

という願いを込めた作品。アマゾン上流での開発は多くの動物や先住民

を森の奥地へと駆り立てていく。そして子供と連れを殺された山猫(オセ

ロット)が人間を攻撃し、この山猫討伐隊に強制的に加えさせられた主人

公の心の葛藤を描く作品。豊潤な森の世界を舞台に、人間の野蛮さを静

かに訴えてやまない書である。





この文献の詳細ページへ 「ミュータント・メッセージ」

<真実の人>族の教え

 マルロ・モーガン 小沢瑞穂訳 角川書店 



本書はオー ストラリアの砂漠に住む<真実の人>というアボリジニの部族との

四ヶ月にわたる旅を通して、著者が叡智と使命を授かったという実体験を記した

ものとしてアメリカではベストセラーとなり、特にニューエイジの読者に広く受け入

れられました。しかし、本書の虚偽はアボリジニ自身の手によって明るみに出さ

れ、この物語を真実と主張する著者が講演の為に来日した際にも、アボリジニの

方が抗議するために日本にも来られています。この件は新聞紙上でも大きく報道

されましたが、抗議の内容は下に紹介するページに詳しく書かれていますので、

是非お読みいただけたらと思います。実は日本でもこの文献はニューエイジと呼

ばれる方たちを中心に、実際に起こった体験として受け入れられていましたが、

このアボリジニの方の抗議の内容を知っているにも関わらず、たとえこの文献が

虚偽であっても自分自身に気づきを与えてくれる素晴らしい文献であり、虚偽か

真実かは自分とは関係ないという認識がニューエイジの中で急速に広がりつつ

あるのを感じています。しかし、この偽書によってアボリジニがどれだけの侮辱と

痛みを受けてきたか、それを感じ取ることが出来ない人間に、どんな気づきや素

晴らしい世界観が宿るというのでしょう。結果として本書で展開されるアボリジニ

の偽世界観に強く傾倒していながら、真のアボリジニの精神文化の破壊に加担

している矛盾に心を痛めることもないのでしょうか。この文献の著者のように、

先住民族の精神文化を自己の名誉と私腹を肥やすために利用する白人は後を

絶ちません。土地を奪い、命を奪い、同化政策によって先住民の自己基盤を

破壊してきた白人が次にしたことは、彼らの魂を金で売り飛ばすことだったの

です。インディアンの文献の中においても、多くの方の共感を呼び名著といわ

れている「リトル・トリー」もそのような偽書の類ですが、世界中の先住民族が

このような新たな侵略にさらされている事実を知っていただきたいと思い、敢え

てここに紹介することにします。白人の破壊行為に目をつぶること、それは私た

ち自身も先住民族への迫害に手を貸していることを意味していると思います。


「アボリジニのメッセージ」は「MICA BOX HOMEPAGE」の次のページで紹介されています。

http://www2.comco.ne.jp/~micabox/bun/ms1.html





この文献の詳細ページへ 「生命の織物・先住民族の知恵」 

原みち子・濱田滋朗訳 女子パウロ会



小さい本でありながら、世界各地の先住民族の深い洞察と畏敬の念の言葉を

集めた好著。記憶は鮮明ではないが、私が初めて先住民族の方たちの魂に

触れた本である。インディアンは勿論のこと、カナダのイヌイット、メキシコの

インディオ、オーストラリアのアボリジニー、フィリピン、北海道のアイヌ、ザイ

ール、グアテマラのノーベル平和賞を受けたメンチュなどの先住民と呼ばれる

人々の深遠な言葉を紹介している。


雑記帳「魅せられたもの」1998.4/20「父は空、母は大地」を参照されたし





この文献の詳細ページへ 「森の暮らしの記憶」

 絵・マーロン・クエリナド 文・マーロン・クエリナド/清水靖子 

「パプアニューギニアとソロモン諸島の森を守る会」制作

自由国民社



僕の名前はマーロン・クエリナド。

パプアニューギニアのゴゴール渓谷に生まれた。

日本から5000キロほど遠い、赤道の南のニューギニア島というところだよ。

僕が日本に来たときに、日本の道路わきに、段ボールや紙が捨てられているのを見た。

そして僕は泣いた。

遠い記憶の僕の森を思い出したんだ。

日本の会社が僕の森を伐ってしまって、チップにして運んで行ったことを。

そのチップは日本で段ボールになってしまったんだよ。

僕が十三才のときだった。

僕は僕の描いた絵を通して、伐られる前の森と暮らしがどんなに素晴らしかったかを、

日本のみなさんに知ってもらいたいと思う。

毎日、毎日が天国のような暮らしだったんだよ。

(本書より)





この文献の詳細ページへ 「アマゾンの呪術師(シャーマン)」 

パブロ・アマリンゴ/語り 永武ひかる/構成・訳

地湧社



若い頃、その貧しさから偽造紙幣という悪に手を染めたパブロ・アマリンゴの

放浪と投獄の日々。しかし、ある女呪術師との出会いによって自らシャーマン

になっていたことに気づく。類まれな名治療師として多くの病気を治し、今でも

当時の手腕は語り草になっているパブロ・アマリンゴ自身が、人間、宇宙、精

霊について語る。平易な言葉で謙虚に語る彼の言葉には、人々のために誠

実に生きたシャーマンとしての義務と責任が横たわっている。現在のパブロ・

アマリンゴはシャーマンからは身を引いたが、シャーマニズム的精霊世界を

描く彼の絵には、世界各地の文化人類学者が関心を寄せ、自らも美術によ

る教育を無償で教えている。それはまた美術によって自然を大切に思う気持

ちを高めよう、という一つの環境教育でもあった。本書には、パブロ・アマリン

ゴが描いた不思議な精霊世界の絵が七枚入っているが、この貴重なシャー

マンとしての証言を視覚化させたもので興味深い。1999年、このパブロ・

アマリンゴの人柄と言葉、精霊世界の絵がNHKでも詳しく紹介されました。





この文献の詳細ページへ 「森と氷河と鯨」

ワタリガラスの伝説を求めて

 星野道夫 文・写真 世界文化社 



「ぼくは、深い森と氷河に覆われた太古の昔と何も変わらぬこの世界を、

神話の時代に生きた人々と同じ視線で旅をしてみたかった。この世の

創造主であるというワタリガラスの神話の世界に近づいてみたかった」

アラスカに伝わる創世神話はなぜかワタリガラスを主人公とした物語が

多い。アラスカの写真家として知られる著者が、かねてより関心を抱い

ていた”ワタリガラスの神話”をテーマに、南東アラスカの自然を旅した。

神話を追い求める著者の旅は、一人のインディアンとの出会いに始ま

り、それはやがてモンゴロイドの偉大な旅へとつながっていく。苔むし

た森、蒼い氷河、ザトウクジラの海。太古の気配を残す南東アラスカ

にワタリガラスの神話を追い、シベリアへと人類の足跡をたどる星野

が遺した最後の物語。(本書・帯文より)



星野道夫という魂から紡ぎだされた言葉並びに写真に秘められた視点は、

私たち日本人が忘れかけている太古の魂の記憶を甦らせてくれる。そし

てこのような星野の魂の遍歴はある一人のインディアンの男との出会いに

よって浄化され強められていく。星野の写真家としての作品にははっきり

とした意志が込められており、彼の視点が現代文明に浸っている私たち

の視点の座標軸をあるべき位置へと帰還させてくれる。この星野が残した

遺言に、そして先住民族の方たちが持つ世界観に、感謝と祈りと喜びが

存在していることを是非多くの方に知っていただけたらと思う。彼が残し

た遺言というべき数々の作品は、いつまでも私の心に生き続けるだろう。


星野氏の著作「イニュニック(生命)」「Alaska 風のような物語」「旅をする木」「長い旅の途上」

「星野道夫の仕事 第1巻 カリブーの旅」「星野道夫の仕事 第2巻 北極圏の生命」

「星野道夫の仕事 第3巻 生きものたちの宇宙」「星野道夫の仕事 第4巻 ワタリガラスの神話」


「心に響く言葉」1998.10.23を参照されたし





この文献の詳細ページへ 「鳥のように、川のように」 

森の哲人アユトンとの旅

長倉洋海著 徳間書店



アユトンの体には美しき森の記憶がある。長倉洋海がそれを「詩」として「知」と

して見事に結像させた。二人の旅は、いわば、人の記憶の宝さがし。かけが

えのない言葉と風景に、魂が洗われた。静かに、深く得心した。

辺見庸(作家)・・・・・・・本著帯文より



「人間が好き」という優れた写真集は、アマゾン先住民の姿と叡智を追ったもので

あったが、「鳥のように、川のように」はその叡智の部分を深く掘り下げたもので

ある。アユトン・クレナックと各地の部族を訪ねる旅に、今の先住民族が抱える

多くの問題が浮き彫りにされ、改めて大地に生きるとはどのようなことかを考え

させる。このアユトンは、インディオ連合の闘志としてインディオの自立を目指し

て10年にわたって活動してきたが、「法的に土地を得ても、我々にその土地を

守る心の準備があるのだろうか。次の世代に祖先から受け継いだものをきちん

と手渡していくことができるのだろうか」と思い、「文化を守り、引き継いでいくた

めには種を植えて、強い根を作らなければ」と政治の世界から姿を消す。今は、

白人に依存する生活から脱するために、祖先から受け継いだ森を守り伝統を受

け継ぎながら経済的自立を果たすべく、各地の特性を活かした自立のプロジェ

クトを推進している。





この文献の詳細ページへ 「写真集 世界の先住民族 危機にたつ人びと」 

 アート・デイヴィッドソン著 鈴木清史+中坪央暁訳 

明石書店



本書を以下の人びとに捧げる。

民族と土地と生活を守るために、闘いながら死んでいった先住民族の人たちに。

世界中の子どもたちに。

世界の人びとが自分たちの生活様式で生きていくことができることを知ってもらうために。

(本書より・アート・デイヴィッドソン)



この名著から世界各地の先住民族と呼ばれる人びとの魂の叫びが聞こえてくる。

この中にはインディアンを始めとして、アマゾン、アンデス、チベット、アイヌ、サラ

ワク、インドネシア、アボリジニ、ブッシュマン、トゥアレグなど数多くの先住民族が

おり、今日どのような現実に置かれているのかを現地の先住民族の声と共に訴え

ている。その多くは文明人といわれる大地を憎む人々の野蛮さや傲慢さにより、絶

滅寸前に追い込まれている。一説によると現在でも世界各地で毎年約25万人の

先住民の方たちが殺されており、先住民独自の言葉の多くが次の世代には消えて

なくなっていくことだろう。そしてそれは私たち文明人の未来をも奪うことになってし

まうことを意味していることに気づきさえしない。先住民族は物質文明の流れに乗

れず溺れていった悲運の民族などではなく、私たちの未来を語る上での試金石な

のである。このかけがえのない先住民族の方たちの視点を失うこと、奪い取ること

こそ、自らのそして未来の世界・子孫への殺戮そのものなのであり、この世界を

破滅へと導いていくものだろう。しかしこの私たちに何が出来るというのだろう。

余りにも複雑化してしまった現代文明の中で、そしてその歯車の一部として動い

ている自分自身を振り返るとき、その無力感に囚われてしまうのも事実だ。ただ、

次の世代を荷う子どもたちに先住民族の方たちの視点・魂が宿ることを願ってい

きたい。たとえどのような世界が待ち受けようとも、このような魂と共に生きる子ど

もたちが、あるべき姿をした新しい世界を創造してゆくに違いない。





この文献の詳細ページへ 「先住民族 - 地球環境の危機を語る」 

インター・プレス・サービス編

清水和久訳 明石書店



世界各地の先住民族が訴える現代の危機的状況。それは民族としての

消滅を意味しているだけでなく、地球に生きるすべての生命が脅かされ

いる姿をも明らかにする。本書には世界の16の先住民族の声が紹介

されいるが、その一つ一つがとても重く心に沈んでいく。彼らの声がこの

正反対に突き進んでいる文明社会から、生命の輝きを取り戻し、大地と

空にあるべき道の指標として響き渡る日が来るのだろうか。



したがって、環境の悪化を問題にするときは、西側の文化と西側以外の

文化とを明確に区別するのが正しい。伝統的な社会の文化は支配的な

開発のパラダイムに目立った影響を与えてこなかった。また、そうした

パラダイムの適用による直接の結果としての環境の悪化に対しても、

これという影響は及ぼさないできた。伝統的文化は西側文化とは反対

に、自然を神聖視している。その価値体系は環境危機を招いた消費

謳歌主義とは無縁であり、いわば何光年も遠く離れている。にもかか

わらず、伝統的社会の立場は環境に関する国際的議論では無視され

ている。その立場が採択される決定に反映されることを全く許されない

でいる。さらに、非西側の文化が人類の大多数を代表しているという

事実を考慮するならば、参加と情報の両面で、巨大な真空が存在する

ことはあきらかである。本書の目的は単純明白である。伝統的社会、

母なる大地、母なる地球というその哲学、人類と自然の関係について

の哲学、伝統的生活様式の根底にある価値体系、天然資源の乱開発

の結果と影響、環境破壊への対処の仕方などを提示する。 --- これが

本書の目的である。(本書・編者まえがきより)





この文献の詳細ページへ 「アイヌ学の夜明け」

 梅原猛・藤村久和 編 小学館ライブラリー 



哲学者として著名な梅原猛氏とアイヌの研究者として有名な藤村和久氏、並びに

アイヌの古老、ヨーロッパのアイヌ研究者との対談から、アイヌ文化の真の姿を

垣間見ることができる。また現代においてこのアイヌ文化の持つ視点の重要さ

を考える時、それは合わせて人類の未来のあり方を探るものともなっていくに

違いない。インディアンを始め先住民族共通の視点がこの日本にも存在してい

たことを、そして私たち一人一人のの血の中にもこの太古からの記憶が残っ

ていることを改めて再認識させてくれる文献である。



私はやはりみんな死ぬと同じあの世にいけるというアイヌの人たちの考え方は、いいと

思いますね。キリスト教や仏教のようにあの世にいって裁判をされて、地獄や極楽へ

いかされるとう考え方は、どうもいやですね。この世の恨みをあの世ではらすというこ

とですから、これは人間のあさましい考え方です。それに対してアイヌや沖縄の他界

には地獄も極楽もない。本来、人類の他界には、地獄も極楽もなかった。それは農耕

や牧畜をやるようになって、貧富の差や差別が発生し、そして都市や国家が発生す

る。そこで人生がどうしようもなく苦しくなる。その逃げ道としてあの世での地獄とか極

楽を考えるようになったのです。だから貧富の差のない狩猟採集社会の段階におい

ては、人類は地獄も極楽も考えなかったと思う。たとえば浄土真宗で、とにかく南無阿

弥陀仏さえとなえれば極楽へいって仏になれるという考え方がでてきて、それ日本で

多くの人の支持をえた背景には、やはり仏教以前の日本には、だれもが等しく同じ

あの世へいけるという、アイヌや沖縄に今も残っている信仰があったからだと思い

ます。だから日本人はどこかで、だれもが同じように極楽にいけると思っているので

しょうね。梅原猛・・・本書「アイヌの古老に訊く」対談より





この文献の詳細ページへ 「火の神の懐にて」

 ある古老が語ったアイヌのコスモロジー 

松居友 著 小田イト 語り 洋泉社



アイヌの古老、小田イトさんの素朴な語り、その深い慈愛と祈りに満ちた世界観と

いう気泡が、深い泉の底から静かに浮かびあがり、いつしか私の心に弾んでいた。

このアイヌ並びに先住民族の方々の視点なくして、どのように未来を語れるというの

だろう。私たちの遥か太古に刻まれた記憶を呼び戻すこと、それは自分自身が何者

であるかを知る旅であり、未来への礎であることを改めて教えてくれるものである。

そして昔から語り継がれてきた伝説や神話が、どれほど深く子供の心を豊かに育ん

できたのかを思い知らされてしまう。本書がまた優れている点は、児童文学の世界

に長い間関わってきた著者ならではの暖かい語り口と、スエデンボルグなどと対比

しながら展開する奥深さにもあるのだと感じられてならない。



北海道を終いの住処ときめた著者が、ひとりのアイヌの古老とじっくり膝をまじえ、

話を聞いた。その古老の語ることばや生き方のなんと黄金のようにきらめいてい

ることか。死と葬儀と引導渡し、臨死体験と死後霊、鮭の霊送り、熊送り、一匹の

蝿も神になるなど、神々と人間の交歓を描いて、アイヌの精神文化と豊かな世界

に私どもを誘ってくれる。(本書 帯文より)



私は、イトばあちゃんのなかにきらめくミクロコスモスをできるかぎり忠実にマクロコスモス

の中でとらえ、多くの人々に共感し理解していただくために、だれにでもわかる描写で再現

するために最大限の努力をしたつもりです。この作品の目的は、あくまでもこのイトさんの

言葉からあふれる事実をふまえ、その言葉のなかにコンカニ(黄金)のようにきらめくコス

モロジーをできるだけ浮き上がらせて描写することであり、大上段にかまえてアイヌ文化と

は何かを解説するものではありません。ですからこの作品は、いわゆるアイヌ文化研究者

による調査報告とは異なります。アイヌ文化のような偉大な精神文化は、記録として博物

館や図書館の片隅に保存されることも必要ですが、新たな時代の思想として復活される

ことこそが必要であると思うのです。(本書 まえがきより)





この文献の詳細ページへ 「世界をささえる一本の木」

ブラジル・インディオの神話と伝説

 ヴァルデ=マール 再話・絵 永田銀子 訳 福音館書店 



アメリカ・インディアンと同じく大地に根をおろして生き続けるブラジル・

インディオの人々に語り継がれてきた美しい神話と伝説はインディアン

のものと共通性が多い。大地の恵みを深く感謝して受け取ることが出

きる人々に国境・言葉の垣根は存在しないのだろう。またこの絵本に

はインディオの血をひく著者による実に美しい世界が描かれている。



「この木が天をささえている。わたしたちの部族がほろびる日が来たら、

わたしはこの木を引きぬくだろう。わたしがこの木を引きぬけば、天が

くずれ落ちてきて、あらゆる人々が姿を消す。すべての終わりが来る

のだ。」・・・同著の「シアナ・世界をささえる一本の木」より





この文献の詳細ページへ 「アイヌの碑」 

 萱野茂著 朝日文庫 



アイヌの文化伝承に多大な力を注いでいる著者の半生を綴った書であり、幼い頃の

辛く悲しい思い出から如何にアイヌ文化伝承に目覚めていったかを語ったものである。

著者は小学校卒業後、山子などの出稼ぎをしながらアイヌ民族としての自覚と誇りを

持つようになり、アイヌ民具を収集することから文化伝承の道を歩み始める。そしてそ

の貴重な収集物は、1972年「二風谷アイヌ資料館」に収蔵されることになる。また

著者はアイヌの民話をまとめた「ウエペケレ集大成」などで菊池寛賞、吉川英治賞を

受賞し、現在もアイヌ語のCD−ROM辞典や民話を集めたCD−ROMなどを世に送

りだしている。アイヌ文化が根絶されようとしている現実に危機感を持ち、その活動は

今でも(1926年生まれ)衰えを知らない。1999年には「アイヌ語語り部育成へ育英資

金」を設立し、「言葉こそ民族のあかしだ」とのもとに後継者育成への資金協力を広く求

める活動を始めた。著者自身、アイヌ語をアイヌ民族のお年寄りから話を聞き取って学

んだが、その多くは亡くなり後継者不足が早急で深刻な問題として今問われている。

「(年を考えれば)正直、焦っています。ぼけないうちは頑張るが、いつまでもそうとは

限らない。一人でも二人でも、育英資金に賛同してくれればうれしい」と語る著者の

活動に賛同される方は次の振り込み先までお願いします。

苫小牧信用金庫平取支店の普通預金口座145306「萱野茂アイヌ語育英資金」



これは「本」ではない。何万年の歴史を生きてきたひとつの民族、ひとつの文化が、

いま正に風前の灯にある、その灯を消すまいと、必死に祈り、戦い、怒り、しかし静

かに語る魂・・・・憤死した先祖たちが萱野氏というアイヌを通して全日本人に呼びか

ける「声」そのものだ。本多勝一 本書より





この文献の詳細ページへ 「アマゾン、インディオからの伝言」 

南研子(熱帯雨林保護団体代表)

ほんの木



地球の酸素の三分の一を生産していると言われているアマゾンの熱帯雨林。そのアマゾン

では、先進国の豊かな暮らしを支えるためだけのため、一分間にフットボール場60個分の

面積が消滅し、そこに生きる多くの動植物や先住民が姿を消しつつある。本書はこのアマ

ゾンの状況並びに苦闘するインディオたちを見事に描きだしており、現地の生の声を聞き

取りながらの支援活動をしている著者たちの姿勢に心を打たれてしまう。そして霊的にも

先住民と同じ世界に立つ者しか感じることが出来ない精霊世界、その世界をも著者はさり

げなく描き出している好著である。インディオは言う「木が世界を支えている」と。



南研子さんは、アマゾンの涙を見ている人です。減少する熱帯雨林を守るインディオ保護区

に生きる先住民たち。貨幣経済も文字もない人々との11年間にわたる交流を初めて一冊

の本に綴りました。この本は現代文明に反省を求めた、心を癒す、精霊たちの記録です

(本書紹介文より)。南研子・・・・1989年イギリスの歌手スティングがアマゾンを守ろうという

ワールド・キャンペーン・ツアーを行い、日本を訪問した。その際のボランティアが縁で、同年

5月「熱帯森林保護団体」を設立、活動を開始。ブラジルでの1992年世界先住民会議を機

にその後12回にわたりアマゾンのジャングルで先住民と共に毎回2ヶ月以上生活し、支援

活動を継続中。現在、熱帯森林保護団体代表。NGO活動推進センター理事(本書より)

熱帯森林保護団体(RAIN FOREST JAPAN)のホームページ



自然と共生してきた先住民の生活をチラッと垣間見ただけで、その深い部分の教えや知恵

をくみ取らずに、一部分をファッションとしてしか取り入れない薄っぺらな文明人が哀れにさえ

思えてくる。ここにきて人類の存続が危ぶまれ、人々は文明という迷路で立ち往生し、心ある

人達が未来に対して何を選択していくべきかの方法を模索している。私は未来へ正しく向かう

オルタナティブ(他にとるべき方法)の鍵を先住民と呼ばれている人々が持っていて、地球が

窮地に追いつめられた時に、スッとこの鍵で扉を開けて活路を指し示してくれるような気がし

てならない。本書「アマゾンの伝説に出会う」より引用。



2000年6月11日(日)朝日新聞朝刊の「天声人語」に著者の南研子さんがとりあげられました。

魅せられたもの「未来を守る無名の戦士たち」 1999.1.30 を参照されたし





この文献の詳細ページへ 「マヤ文明 聖なる時間の書」 

現代マヤ・シャーマンとの対話

実松克義著 現代書林



マヤ民族、それは私たちにどのような想像を植えつけていただろう。マヤンカレンダー、

驚くべき天文学的知識を持った偉大な天文学者、ブルホ(黒呪術)、そして人間の生贄

の儀式の存在など多くの謎に満ちた世界。しかしマヤ文明の根底に流れている神話、

アメリカ大陸最大の神話「ポップ・ヴフ」を紐解く時、彼らの驚くべき世界・宇宙観が見え

てくる。この神話によると人間の生贄の儀式が復活した時代は、第五段階と呼ばれた

退廃の時代であり、現代はその時代よりも重大な危機を迎えている第七段階に位置し

ていると言われている。立教大学社会学部助教授である著者は、グアテマラに暮らす

マヤの末裔・シャーマンを6年にわたって現地調査し、多くのシャーマンとの対話を通し

てマヤンカレンダーに代表される彼らの時間の捉え方を解き明かす。それは時間その

ものが生命を持った創造的存在であり、調和の思想だった。そこには人間の生贄の

儀式など存在しない世界・宇宙観が横たわっている。本書は本格的マヤ神秘思想研究

の第一級の書であり、あるべき未来の扉を開く鍵をも提示している。



マヤ人にとって時間とは必ずしも連続的なものではない。それは人間生活にさまざまな恩恵を

与えてくれるエネルギーであるが、同時に時と場合によっては生命や社会そのものをも破壊し

かねないおそろしい存在であった。神秘の扉を開ける鍵ではあるが、その本質は極めて気まぐ

れで凶暴なのである。そして時間は地上に生きる全ての生命に絶対的な影響力を持つ。それ

はちょうど食料が生命の生物学的な維持を保証するように、宇宙における人間の存在を根底

から支えるものだ。初めに時間は過去を意味する。それは消し去ることのできない過去の営為

の集積である。しかし時間はまた未来をも意味する。何故なら過去はその強い影響力によって

未来を左右するものだからだ。そして時間とは現在そのものである。そこでは時間は実際に現

実世界を創り出している。したがってマヤ的な宇宙観では過去、現在、未来という単純な区分

はあまり意味を持たないことになる。言い換えるとわれわれが今生きているこの現在とは過去

から未来に及ぶ全ての時間を含んでいる。そこにあるものは宇宙の全存在である。このよう

に、「時間」をとらえてきたマヤの時間思想は文明化された現代日本社会に生きるわれわれに

とってどういう意味があるのだろうか。現代の日本社会において最も支配的であるのは西欧

文明に起源を持つ科学的時間概念である。この時間概念は時間を生命の内容とは全く無関

係に、直線的に流れる抽象的存在としてとらえる。その産物である時計は経過する時間を精

密に計測し、その貴重さを数量化してわれわれに教えてくれる。だが同時にそれはわれわれ

を無機質に、機械的に縛るものでもある。われわれは文字通り、毎日を時間に縛られて働き、

学び、あるいは生活している。われわれはまた、年齢によって生き方を規定され、あたかも時

間の奴隷ででもあるかのように年老いていく。その意味では、科学的時間概念とはわれわれ

から本来の人間性と自由を奪う意識にすぎない。もちろんわれわれの中にも依然として古代

から続いている日本的時間感覚が存在する。それはこの世界の全てが生成流転の中にある

という意識である。この日本化した仏教思想から生まれた時間概念は独特の美しさを持つ無

常感の哲学を生み出した。こうした時間意識においては世界とは未来永劫に変化を繰り返す

存在である。ここでは時間とは虚しくうつろうもの、そして二度と帰らぬ生の象徴である。マヤ

の時間概念はそうしてわれわれの時間観に対して、第三の道とでも呼べる時間思想を提示

しているのかもしれない。それは時間をより積極的に意味づけようとする試みである。世界

は時計の機械的な動きによって無機質に流れるものでもなければ、また無常に過ぎ去って

全てを無にするものでもない。それは世界に生命の息吹を与える創造的なエネルギーなの

だ。それは無限に流れるものではあるが、同時に繰り返されるサイクルでもある。それは

まず、ヴィクトリアーノ・アルヴァレスが言ったように、より高い次元を目指す根源的な螺旋

運動なのである。(中略) われわれは現在古いミレニアムが終わって、新しいミレニアムが

始まる人類史の転換点に立っている。ただ残念ながらこの転換点はあまり幸福なものとは

言えないようだ。現代の文明社会は問題だらけであり、根本的な意味で世界は今や重大な

危機に瀕している。そしてこの時期は奇しくも現在のマヤの世界の時間が終わろうとする

時期とほぼ重なっている。これは偶然であるとはいえ、極めて象徴的である。われわれは

今根底から生命の意味について考え直す時期にさしかかっているのかもしれない。マヤ人

は生命の神秘を深く哲学した民族である。彼らはその根本的解答を天体の運行に象徴さ

れるような宇宙的展開の中に求めようとした。そして「神としての時間」という唯一無二の

思想に到達したのである。その哲学の全貌は神秘的で、完全には理解できないにしても、

それは何故かわれわれの思考を刺激する。それはまた生きているとは何かと問いかける

ことでもある。(本書 第15章 神としての時間 より引用)





この文献の詳細ページへ 「21世紀に残したい沖縄の民話 21話」 

文・遠藤庄治 絵・安室二三雄

琉球新報社



沖縄各地から聴取した七万話の民話の中から、沖縄県民の方たちが選んだ21話を紹介

し、それぞれの民話の背景を詳しく解説している。子供たちにとって読みやすい絵本に

仕上がっており、この民話が出来た背景を知ることによって、より深く沖縄の文化や生活

を感じることが出来るかも知れない。



21世紀の架け橋(琉球新報社代表取締役社長 宮里昭也)

沖縄は「民話の宝庫である」とよく言われます。話者も、内容も、その数も、全国の中で

群を抜いています。まさに悠久の彼方から時空をこえて、口承されてきたものが民話で

す。その豊かな民話を発掘しつづけてきたのが、遠藤庄治氏を代表とする沖縄民話の

会の活動です。その存在なしに、「民話の宝庫」もないのです。語る人、伝える人がいて

残ったのです。記録して作業と、活用していく努力。それらが民話の豊かさを支えてい

るのです。(中略) 21世紀を担う子供らに、豊かな郷土の文化を知ってもらい、語り

継ぐことによって、21世紀の架け橋になってほしいと思います。この民話集が、広く県

民の間で活用してもらえるよう願っています。(本書より引用)





この文献の詳細ページへ 「大地にしがみつけ ハワイ先住民女性の訴え」 

ハウナニ=ケイ・トラスク著 松原好次訳

春風社



日本の皆さまへ

本書をお読みになりましたら、次の二点を、じっくり考えてみてください。

1 ハワイの観光産業は、環境や文化を破壊するものです。この産業は、外国人が

牛耳っていて、もっぱら外国人を利するためにあると言ってよいでしょう。ハワイ

には年間700万近い観光客が押し寄せますが、そのうち五分の一は日本人で

す。さらに、日本人がハワイで使うお金は、平均的なアメリカ人の四倍です。日

本人観光客によって、先住民経済の依存体質が年々深まるだけでなく、私た

ち先住民の環境も急速に破壊されています。

2 沖縄と同様に、ハワイはアメリカの軍事的植民地と言えるでしょう。アイヌ民族

と同様に、ハワイ先住民は自らの土地を奪われた民族です。沖縄が沖縄の

人たちに返還されるべきであるように、北海道が先住民であるアイヌに返還

されるべきであるように、ハワイもハワイ先住民に返還されるべきなのです。

2002年3月 ハウナニ=ケイ・トラスク

ハウナニ=ケイ・トラスク「新しい世界秩序」を参照されたし


私たち日本人の多くは芸能人も含めて、ここぞとばかりにハワイを目指していく傾向にある

ように思います。ハワイ先住民は100年前の王朝転覆から、アメリカの白人たちによって

土地を奪われ続け、先住民の文化までも観光客のために商業化されてしまいました。楽園

というアメリカ政府並びに観光業者の宣伝広告に踊らされた観光客が、怒涛のようにハワイ

に押し寄せ、その観光客のための施設が次々と建てられていくことになります。その建設地

は先住民にとって聖地であったり、先祖が眠っている土地であったり、日々の糧を得る貴重

な畑だったりします。このような開発により、先住民がどうなるかなど一切考慮されることは

ありません。アメリカの白人の頭にあるのは儲けだけなのでしょうね。自分自身の快楽のた

めに、他の人間が犠牲を強いられることに何の感情も起きないのでしょう。アメリカの何処が

民主主義なのでしょう。そしてそんなアメリカに追随している日本も同罪かも知れません。

しかし思うのですが、何故、世界の先住民たちはこのような理不尽な苦しみを一身に背負わ

なければならないのでしょう。文明化されていないというだけで、人間失格の烙印を押され、

土地や生活の糧、そして残念ながら心までもキリスト教の宣教師たちによって踏みにじられ

てきました。ハワイ先住民が大切にしていた「マーラマ・アーイナ」(大地を慈しめ)の文化は

崩壊の危機に直面していますが、それでも著者のように勇敢に闘い続けている姿は、先住民

全てにとって希望の光の一つなのだと感じてなりません。







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