未来をまもる子どもたちへ


わし星雲 M16


羽を広げたような姿からわし星雲の名で親しまれている天体である散光星雲M16

は、7000光年という近い距離にあるんだ。上の写真のように水素分子やチリで

できた高さ1光年にも及ぶ柱が何本もあるんだよ。チリと言ってもその大きさは

1万分の1mm位しかない小さなもので、大きなビルに一個あるかないかという密

度なんだけど、それでもこの星間塵はこんな壮大な眺めを作るんだね。この柱の

内部には特に密度が高い「EGG」と呼ばれる球状のガス塊があり、いずれ星として

輝き始めるんだ。このM16(NGC6611)は、へび座(尾部)とたて座の境界、さそ

り座に近いところにある有名な星雲なんだ。7x50の双眼鏡では星雲状に見え、

すぐ南のM17が同一視野に見え、天の川の微光星とともに美しい眺めを楽しむ

ことが出来るから、一番下の星図を参考にして探してごらん。大きな望遠鏡でも

中々輪郭がはっきりせず、写真撮影でしかこの美しい色を見ることが出来ないと

思うから、双眼鏡で観望した方がいいかもしれないね。




わし星雲 M16


この画像の上方には新しく生まれた青い星があり、その星の強烈な紫外線が薄い

ガスを飛散させ濃い部分だった柱を残してしまったんだ。この星間ガスの柱は、

星を産み出す母親の胎内のようなものなんだ。この上の画像はもっとも大きな柱の

頭部で、柱の後方にはやはり生まれたばかりの星があって背景照明になっている

んだよ。気が遠くなるほどの時空の中で星が産まれてゆくんだね。さてこのM16に

似た構造を持っているものに有名な「馬頭星雲」がある。地球から1400光年離れ

たオリオン座にある暗黒星雲で、ESO(ヨーロッパ南天天文台)パラナル観測所の

8.2m VLT(The Very Large Telescope)望遠鏡を使って撮影されたものなんだ。

それにしても何と美しく雄大な光景なんだろう。




へび座にあるM16の右に見えるのがへびつかい座だよ。もともとはこの二つの

星座は一つの星座だったと言われているんだ。医学の神アスクレピオスが持っ

ているのがこのへびなんだね。そしてM16の下に見えているのが銀河系の中心

がある射手座で、その下に見えているのが皆も知っているさそり座だよ。左上

にある一等星のアルタイルが輝くわし座だ。この四つの星座の真ん中あたり

にM16があるんだ。へびと言うと邪悪なものとして受け取られがちだけど、先住

民の方たちや古代メソポタミアの人にとっては神聖な生き物だったんだよ。

詳しくは「森を守る文明 支配する文明」「魅せられたもの・霊的な戦士」

読んでみてごらん。








Spitzer News Room: Famous Space Pillars Feel the Heat of Star's Explosion

2007年1月、赤外線天文衛星スピッツァーによるM16「わし星雲」の観測から、

ハッブル宇宙望遠鏡の画像で有名な暗黒星雲の柱が、実は今この瞬間には存在

しない示唆されたんだ。この星雲までの距離は7000光年、つまり私たちが見て

いるのは7000年前の姿だね。この画像は複数の波長の赤外線でわし星雲を撮

影したもので、広がりゆく衝撃波によってガスが加熱されているところが赤く写っ

ている。中央付近にはあの有名な3本柱も見えるが、今現在では致命的な爆発

による衝撃波が3本の柱を吹き飛ばしているのではないかと言われているんだ。

早ければ1000年後にこの柱が崩壊される様子が見えるかも知れない。




キットピーク天文台にある国立科学財団の90cm望遠鏡にNOAOのモザイクCCDカメラを

取り付け撮影されたM16の広角画像だよ。ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した最初の2枚は

この画像の中心部(白いところ)だけど、この画像はM16の広範囲を撮影しているもので、

そのあまりの美しさに言葉を失いそうだね。NOAO The Eagle Nebula, M16




Spitzer Newsroom: Generations of Stars Pose for Family Portrait

画像にぽっかり穴が開いたように見えるところに青く輝いている星は、最も古く

質量の大きな恒星なんだ。また新たに誕生した恒星や、手前や奥にある無関係

の恒星たちも青く光っている。このぽっかり穴が開いたような空洞の周縁部で

見られる雲のような形状の先端には、若い恒星がありピンク色の光っている。

この空洞の中の赤い部分が熱いガス、下の緑のところが濃い星間物質がある。

そして今まさに恒星が誕生しているところが、白く見えるところなんだ。実は

空洞のやや右下に輝く星は、数百万年もすると大爆発を起こし、その時には

せっかく産まれた周囲の若い星も巻き込んで破壊してしまうと考えられている。

尚、このW5はカシオペア座の方向6500光年の距離にあり、見かけ上は満月

4個分のすごい広がりをもつものなんだ。 (大きな画像)




ヨーロッパ南天天文台(ESOが撮影した「過酷な星のゆりかご」と呼ばれる星団RCW 38

だよ。写真を見るとこれから沢山の星が生まれ出でようとしている姿に美しさを感じるけれ

ど、実際は陣痛の苦しみに似た過酷な環境らしい。産まれたばかりの星たちはガスや塵

の密集された星形成領域で、周囲の大質量からの強力な恒星風や、大質量星が起こす

超新星爆発によって、せっかく産まれた星もまた破壊され宇宙の塵に戻ってしまうんだ。

中央に光る青白い星は、IRS2と呼ばれるもので、ほ座のこの星までの距離は5500光年。




CfA Press Release: Stellar Birth in the Galactic Wilderness

上の画像は、NASAとESAの紫外線天文衛星GALEXが2つの紫外線の波長でとらえ

M83だ。M83は、うみへび座の方向、約1500万光年の距離に位置する銀河で、

直径は約4万光年。銀河の青く光っているところは銀河の中心から10万光年も離

れているんだけど、そこには若い星団が存在していることがわかったんだ。今まで

はそのような領域では物質が希薄で、星の誕生には不毛と言われていたんだけ

ど、その謎を解くために電波観測が行われたんだ。その結果、この青い部分の

領域には星の材料となる水素原子ガスがあることが判明した。つまり、初期宇宙

のような、星の材料となるちりや重元素が少ない状況の中で産まれたことを意味

しているんだよ。




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