
「レッドマンのこころ」
アーネスト・シートン著 近藤千雄訳 北沢図書出版

|
の信仰は普遍的であり、基本的であり、根源的であり、本当の意味での宗教で ある。」シートン。現代ではアメリカ・インディアンの文化は多くの人々からの共 感を得るようになっていますが、シートンがこの本を書いたのは約70年前のこ とです。その頃は彼らの精神文化を理解する人は数少なく、偏見と差別・迫害 の時代でした。しかしシートンはその直感により、彼らこそ神と深く結びついて いる人々との確信を得て、その精神文化を探って行ったのです。歴史的にも 貴重な文献の中の一冊。尚、最初この文献は違う訳者により「赤人の福音書」 として出版されましたが、既に絶版となっています。 (K.K)
|

|
何を尺度としてその価値を評価すべきなのであろうか。それをいくつか思いつく ままに列記してみよう。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1 隣人の権利を侵害しないかぎり自分の権利を行使する完全な自由を保障してくれ ているかどうか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2 最大多数の最大福祉へ向けて機能しているかどうか。・・・・・・・・・・・・
3 法廷における公正と街角における小さい親切を特色として誇れるかどうか。・・
4 市民の苦しみと窮乏を和らげることに最大の努力がなされているかどうか。・・
5 人間本来の力を発揮させ、人間本来の権利を認めているかどうか。・・・・・・
6 信仰の自由を本当に認めているかどうか。・・・・・・・・・・・・・・・・・
7 衣、食、住、それに人間としての尊厳を保証してくれているかどうか。・・・・
8 一票を投ずる権利と同時に、一人の人間としての個性を発揮する場を与えてくれ くれているかどうか。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9 各自の勤勉が生み出すものが生かされるようなシステムになっているかどうか。
10 ”物的なもの”がはかない存在であり、”霊的なもの”こそ永続性のある価値を 有するという事実を認識しているかどうか。・・・・・・・・・・・・・・
11 強権的な公正よりも”思いやり”の方に重点が置かれているかどうか。・・・・
12 一個の人間が必要以上の物的財産を所有することを戒めているかどうか。・・・
13 病人、障害者、身寄りのない人、新米の人に対する施策は万全かどうか。・・・
14 ”家族”という自然発生的な集団を大切にしているかどうか。・・・・・・・・
15 人間の第一の義務は一個の成人として完成させることであること---それは、一個 の人間を形成している身体のあらゆる機能と生命力と精神とを調和よく発揮 できるようになることであり、最終的にはそれを同胞のために活用することで あることを、現体制は基本的理念として認め、かつ促進しているかどうか。
私が見るかぎり、以上のどれ一つを取り上げても、白人の文明は落第である。 インディアンが所有していた同じ大地において、あれほどの食糧を生産し、あれ ほどの富を生み出し、ありとあらゆる原料を有し、労働力もあり、働く意欲もあ りながら、白人文明はなぜ挫折したのか---それだけの好条件を有効に、統合的 にまとめる上で障害となるものが、どこかにあるはずである。今の西欧的物質文 明では、一人の億万長者が出る一方で億の単位の貧困者を生み出すばかりであ る。そんな荒廃のもとでは幸福はあり得ない。世界史に類を見ない勇壮な民族だ ったレッドマン、肉体的にも完ぺきの域を極めていたレッドマン、最も霊性豊か な文明を生み出したレッドマン---このレッドマンになり代わって私は、古き良き 時代からのメッセージをお届けした次第である。遅きに失したとはいえ、この メッセージが心あるホワイトマンに慙愧の念を覚えさせ、現文明を完全な破滅か ら救う手立てを考えねばという気持ちにさせる機縁となれば幸いである。・・ それは、人類にもまだ救いの道が残されていることを意味するものであろう。
|
![]() アーネスト・シートン Ernest Thompson Seton (August 14.1860 - October 23.1946) Ernest Thompson Seton - Wikipedia, the free encyclopedia より引用 |
|
本書 はじめに アーネスト・シートン より引用
|
|
本書 訳者あとがき 近藤千雄 より抜粋引用
|
|
一章 レッドマンのこころ 霊性の自覚 神の概念 インディアンの安息日 酋長と宣教師との対話 インディアンの教え インディアンの超能力 寂滅の行 祈りの行 インディアンの祈り 葬儀と供養 死の歌
二章 レッドマンの社会生活 ユダヤ的共同生活 基本的な規律 結婚と離婚 子供と養育 女性の地位 純潔 宣教師が見たインディアン 将軍が見たインディアン その他の評価 シャーマン 罰則 インディアンの警察 虐待行為に関する誤解
三章 健康美あふれる生活 頑健そのものの身体 清潔好き 勇気 陽気な性格 正直さ 弱者への思いやり 大虐殺の真相 祖国愛
四章 預言者ワバシャは語る 感謝 罪と犯罪 慈悲の心 神への畏敬 肉体美 自衛 施しの心 姑との関係 エチケット 約束 自分に厳しく 客人のもてなし 客人としての振るまい 審議会での心得 小屋の中で
五章 レッドマンの「古事記」 天地初めの時 オマハの言い伝え オマハ族のことわざ ブラックフット族のことわざ スー族のことわざ パイウート族のことわざ ズニ族のことわざ サウスウェスト族のことわざ キチェ族の神話 レッドマンの童話 ポーニー族の酋長の未亡人の教え ショニー族の酋長テクムセの抗議文 酋長レッド・ジャケットの挨拶 コマンチ族の酋長ノコーナの壮絶な最期
六章 レッドマンの「血」を死守せんとした英雄の系譜 ハイアワサ ポワターン メタカム ワバシャ ポンティアック テクムセ ブラック・ホーク セコイヤ クレイジー・ホース シティング・ブル スモハラ ジェロニモ ウォボカ
エピローグ 解説(中沢新一) 訳者あとがき
|