
「ベロボディアの輪」
シベリア・シャーマンの智慧 オルガ・カリティディ著
管靖彦訳 角川書店 より引用

「今日でも、そのつながりは依然として生きつづけている。けれども、数千年の時の経過と
共に、それは次第次第に隠されたものとなっていった。ほとんどの僧侶にとってすら、その
記憶は主として伝説や神話の形で表される。現在、聖なる知識が保存されている古代の
場所にはさまざまな名前が付与されている。ベロボディアはその一つだ。聖なる知識の保存
は最初の移住を余儀なくされた時から霊的な選民たちの目標だった。かれらが後に残った
のはそのためなのだ。しかし、聖なる知識が真に生き残っていくためには、新しく浮上する
文化の社会生活に絶えず統合されなければならない。そのようにして長期間それは生き
残ってきたのだ。あなたに話した最初の文明の移動はほんのはじまりにすぎなかった。以
来、多くの集団がシベリアに彷徨いこみ、消滅した文明の神秘的なパワーに影響された。
アルタイ地域は新しい文化誕生の沸騰する大釜となった。人々の流れがそこから分離し、
多くの異なった方向へと遠くまで広がっていったのだ。その流れの一つが現代のイランの領
域へと辿りつき、そこで、かれらが携えていった聖なる知識がゾロアスター教として誕生した。
後にこれと同じな流れがその知識の多くをキリスト教へと伝えた。別の流れは現在のインド
やパキスタンへと移住し、その地での社会の確立がヴェーダーンダの伝統の富を生み出し
た。最初の知識の場にシャンバラの名前を与えたタントラ仏教は何世紀にも亘って、その
知識と直接的な交流を果たした。西に赴いた人々は、ケルト人として知られるようになり、
ドルイド教の儀式を通して、共通の源に結びつけられた。このように、アルタイに発するこの
古代文明の神秘的遺産は世界中の多くの偉大な宗教の最初の源泉となったのだ。これらの
さまざまな伝統の内部には、それぞれベロボディアと直接触れたことのある人間がつねに
存在していた。時折、ベロボディアに由来する知識はあなた自身の文明にも開示されてきた。
そのようなことは世界大戦のような人類の真の危機の瞬間に起こった。今また聖なる知識が
あなたがたに開かれつつある。人類が蓄積してきたパワーとエネルギーがもろもろの崩壊を
引き起こす潜在性をもつようになっているからだ。ベロボディアが現代人の意識に接近可能
になりつつあるのは、これまでとはちがった生き方を示すことによって、人類を崩壊から守る
ためなのだ」
ここまで話すと男は黙りこみ、足元の地面に幾何学的な図形を描きはじめた。私は彼の話に
含まれている驚くべき意味に心を奪われ、この場に存在することにほとんど意識を集中できな
い。彼の言ったことについては、こちらからもたくさん言いたいことがあり、すぐにでも議論した
いというほとんど抗しがたい欲求を覚えるが、その欲求と必死に戦い、自分が今いるこの場に
全神経を集中しようとする。私の内部で起こっている葛藤を彼が一部始終了解していることは、
彼の顔の表情を見れば分かる。すると、彼がまた話しだす。今回はとてもゆっくりしたしゃべり
方だ。
「私がしゃべったことが伝説か現実かを決める最終的な決定権はあなたに委ねられている。
しかし、実際には、それを真実とみなす以外に方法はないのだ。この真実は一枚ずつ花弁を
開きながら、美しい霊性の秘宝を惑星全体に広めてきた花なのだ。この花が今まさに咲き誇
り、あらゆる知識の開花として理解されようとしている。そうしたことが起こるのはもうまもない
だろう。あなたは好きなように反応すればよいのだ。戦う道を選んでもよい。あるいは、聖なる
ものの真髄を迎え入れ、美しいいのちの輝きに身を委ねることもできるのだ」
ドミトリエフの手書きの文章はここで終わっていた。
(本書 より引用)

1997.7/25
「インディアンの源流であるアニミズムとシャーマニズム」
を参照されたし。