地球の上空から見た月・プレアデス、シリウスの伝説
地球の前方に浮かぶ月。この月までは光の速さでは1.3秒しかからないんだよ。
時速200kmの新幹線で行くと約80日、人間の足だと休まず歩いて11年もかか
るんだ。そして皆さんが月から地球を見ることがあるとしたら、地球から見た月の
13倍も大きく見えるんですよ。さてこの月は一年間に約3cmずつ地球から遠ざ
かっているんです。ということは遠い遠い昔、月はもっと地球の近くを回っていた
ことになるね。きっと雄大な眺めだったんだろうな。さて、この私たちに身近な月
がどのようにして産まれたかはまだはっきりとわからないんだ。今一番有力な説
は「ジャイアント・インパクト説」というもので、原始地球に火星程度の原始惑星が
衝突し、地球からたくさんの物質の破片をはじきだし、それらの破片が後に合体
後に合体して月になったというものなんだ。またこの月の南北の両極には総計60
億トンの氷が眠っているかもしれないと言われているんだよ。
ルナ・プロスペクター・ホームページ(英文)を参照してください。
月から右に約4cm離れたところに星が沢山集まって見えるでしょう。これは
プレアデス星団という約6000万年前に生まれた若い星の集まりなんだよ。
日本では、糸でつながった玉かざりのように見えることから「すばる」と呼ばれ
ている。光の速さで408年かかるところにこの星団はあるんだ。インディアン
の幾つかの部族の伝説では、彼らの祖先はこの星から来たと言い伝えられ
ている。詳しくは「インディアンに語り継がれてきたプレアデス星団の伝説」
を見てくださいね。
地球の左側の宇宙空間に明るい星が大きな正三角形を形作っているのが
わかるでしょうか。これは「冬の大三角形」と呼ばれているものなんだ。一番
上にある星がプロキオン、光の速さでは11年かかります。次に地球のすぐ
近くにある明るい星がオリオン座のベテルギウス、光の速さで500年かか
ります。つまり500年前の光が今、地球に届いているんですよね。500年
前の世界や日本はどのような時代だったのでしょう。皆さん是非調べてみ
てください。このベテルギウスは太陽の直径の700倍から1000倍の大き
さの超巨星なのです。もしこの星を太陽と入れ替えたら、木星の軌道近く
までくるんですよ。全く想像も出来ないくらいの大きさなんだね。さて最後
にシリウスです。皆さんこの名前はとても有名ですから聞いたことがある
かもしれません。天空の星の中で最も明るい恒星です。光の速さで8.6
年かかります。皆さんは約9年前はどんなことを考えていましたか。このよ
うなことを考えると実に不思議ですね。一瞬のうちにタイムスリップしたよ
うな。私はこのようなことを考えながら星を見るのが大好きなんだ。自分が
産まれた時に旅立った光が、長い時空を超えて今、私の瞳に飛び込ん
できている。それは誕生年に限らず、想い出の年月を一瞬にして飛び
超え、当時の記憶がまざまざと甦らせてくれる。その時、とても不思議な
気持ちになるんだよ。
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冬後半の宵、南の空の中ほどにひときわ強く輝く白い星が、おおいぬ座の目じるし
のシリウスなんだ。シリウスは、惑星を除けば全天でもっとも明るく、都会の空でも
良く見えるんだよ。バビロニアでは、このあたりに弓矢の星座が設定されていて、
シリウスは矢じりを表わしていたんだ。シリウスは、ギリシャ語で「セイリオス(焼き
焦がすもの)」という意味があり、シリウスが太陽とともに昇るころ、季節は夏となり、
夏の暑さは「シリウスが太陽と一緒になって空から地上を焼き焦がしている」と考え
られていたんだ。

さて、このシリウスという星にまつわる一つの伝説があるんだよ。アフリカ・マリの
ドゴン族は西洋文明と接触する遥か太古の昔からある儀式を行っていたんだ。
彼らドゴン族はこのシリウスには、小さいながらもとても重い星が50年の周期で
回っていると信じており50年に一度の儀式を行っていた。このもう一つの星の存
在は1862年、当時最大の屈折望遠鏡によって見つけられたんだけど、彼らは遥
か昔からその存在と周期を知っていたと僕は感じてならない。何故僕がこんな
言い方をしたかというと、この伝説に関しては異論が沢山あるからなんだよ。この
この問題を複雑にしているのは、彼らドゴン族が当時主張していた天文に関する
知識が、同じ時代の西洋の天文学的知識と非常に似ているからなんだ。この事
実は確かにドゴン族が、当時の西洋の天文学的知識に触れ、それを何の疑いも
なく受け入れてしまったことを意味しているんだね。何故ならこの当時の西洋の天
文知識の幾つか(ドゴン族が主張していること)が現代天文学では否定されている
からなんだ。でもね、何故彼らが西洋という全く異なる世界の知識を自分達の儀
式の中に積極的に取り入れたのだろう。きっと彼らの儀式の意味するところのもの
と、西洋からもたらされた知識の大いなる共通点に彼らドゴン族は驚愕したんだと
僕は思うんだ。自分達の部族が何千年と信じ続けてきた儀式が、突然別な角度か
ら真実なものであると証明されたんだから。本当に腰が抜けるほど驚いたと思うよ。
だからその時、西洋人がもたらした天文学的知識全てを無条件に受け入れてしまっ
たんだね。そしてこれが後世の誤解を招くもとになってしまった。でも当時の西洋
の知識を、疑いもなく受け入れた彼らドゴン族を責めることは誰にも出来ないと思
うんだよ。どんなに彼らドゴン族が西洋からもたらされた知らせに歓喜したか、私
には何か想像できるような気がするんだ。現在では多くの科学者や一般の天文
愛好者たちも、このドゴン族に関する伝説は疑わしいものとされているけれど、真
実が何処にあるのか今となっては誰にもわからないかも知れない。
「天文学考古学入門」桜井邦朋著の「ドゴン族の神話」を参照されたし。

X線宇宙望遠鏡「チャンドラ」が撮影したシリウス連星系(1999.10)
太陽を除くと全天で最も明るい恒星であるシリウス。しかし、このシリウスが二連星で
あることは1862年、当時世界最高の望遠鏡によりAlvan Clarkが発見したことだっ
たんだ。この画像の二つのシリウス、私たちの目に飛び込んでくる明るいシリウスは
上の暗い星だけど、X線で撮影した場合それが逆転してしまうんだね。ちょっと分かり
づらいかも知れないけれど、普通の可視光の望遠鏡で見ると、画像の上の暗い星が
遥かに明るく輝いて見えるんだけど、X線で撮影すると上のような画像になってしまう。
さて、私たちの目で見たとき明るく輝くシリウス(画像では上の星)をシリウスAとして、
その伴星(画像では下の明るい星)をシリウスBとするね。シリウスAは普通の恒星だ
けれど、質量は太陽の2倍以上あるんだ。シリウスBはシリウスAに比べて一万分の
一ほどの明るさしかない白色矮星なんだ。白色矮星とは寿命を終えた低中質量の恒星
の核の名残りのことを言うんだけど、シリウスBの重力は地球の40万倍にも達するほ
どの超高密度の天体なんだ。質量は太陽と殆ど同じくらいだけど、直径は地球の90%
ほどしかないシリウスB。このシリウスBからはごく低エネルギーの(つまり波長の長い)
X線を放射しているんだ。このX線を捉えた画像が上の画像なんだね。シリウス連星
のように白色矮星が通常の恒星と近接した連星をつくっている場合、恒星から放出さ
れたガスが白色矮星に吸収されていく。そしてこの加速されたガスが、数百万度にも
熱せられ強いX線を放射することになるんだ。そして白色矮星表面に積もったこのガス
が非常に高温かつ高密度に達した場合、白色矮星表面で核融合爆発が引き起こさ
れることもあるんだ。この現象は新星アウトバースト現象と呼ばれるけれど、その時
白色矮星の明るさは一気に1万倍にもなると言われている。