
「Garry Kasparov on My Great Predecessors Part 5」


前述の5巻
コルチノイ、カルポフ やこの時代を生きた
名人達の名局を詳細に分析している。
![]() Garry Kasparov - The Greatest Chess Player of All-Time |
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ガルリ・カスパロフ 「決定力を鍛える チェス世界王者に学ぶ生き方の秘訣」より引用
対する敬意を深めるだけでなく、チェスプレーヤー全般に、そしてチェスというゲームが 人間の知性の粋を引き出すやり方にいままで以上に感服するようになった。プロのチェス トーナメントほど人間の能力に負担をかける活動はまずない。記憶力は酷使され、すば やい計算が欠かせず、どの指し手にも結果はついてまわり、それが何時間も何日も、世 界じゅうに見守られながらつづいていく。心身を崩壊させるには絶好のシナリオだ。
そんなわけで、歴代世界チャンピオンの対局の分析をはじめたとき、私は多少寛大にな る準備ができていた。分析に関してではなく、先人たちのミスに対する姿勢としてである。 こちらは21世紀にいて、いつでもギガヘルツのチェス処理能力をもつ巨人に頼ることが できる。そんな優位で後知恵という客観性も保証される立場から、先達を厳しく裁いてい いはずがない。そう自分に言い聞かせた。私にしても、戦いの熱気のなかで犯したミスは 容赦してもらいたいのだから。
このプロジェクトの肝となる部分は、こうした過去の対局に対する関連の分析を網羅する こと、とくにプレーヤー本人や同時代の人々による発表ずみの分析を集めることだった。 シリーズの眼目はチェスの進化を示すことにある。したがって、当時の注釈はその時代の 棋士の考え方を明らかにする点で、ゲームそのものに劣らず貴重なのだ。
分析する者は静かな書斎で作業し、駒を動かす時間に制限がないのだから、プレーヤー 本人に較べてずっと仕事がしやすいと思われるかもしれない。結局のところ、あとから振り 返れば何でも見えるはずなのだ。だが、私は早い段階にこんなことを発見した。前コンピ ューター時代(おおよそ1995年以前)におこなわれたチェスの分析に関するかぎり、あとか ら振り返るときは遠近両用眼鏡が必要なのである。
矛盾しているようだが、通常、名手たちが雑誌や新聞のコラムで対局について書く場合、 注釈のなかで犯すミスは盤を前にしたときよりはるかに多い。自分の対局の分析を発表 したときでさえ、往々にして実際のプレー中より説得力に欠けるのだ。
(中略)
このゲームに関する当時の一般的な論調はつぎのようなものである。黒番のシュタイニッツ は明らかに勝てる局面にあった。ラスカーは黒のキングに無謀な攻めをしかけ、ピースをサク リファイスする。若干のプレッシャーを受けたものの、まだ優勢だったシュタイニッツがここで 致命的なミスを犯し、そのゲームを落とす。大悪手を指したショックはあまりに大きく、シュタイ ニッツはその後の4局と世界タイトルを失った。
19世紀の分析の大半はそんな筋書きであり、以来、同じような説明がくりかえされてきた。こ れを改訂するとしたら、つぎのようになるだろう。シュタイニッツは客観的に勝勢の局面にあっ たが、いくつかミスをしてラスカーに危険な攻撃を許し、局面はがぜん複雑化した。挑戦者の その後のプレーと駒捨てから、黒は多くの現実的な問題をかかえることになった。プレッシャー を受けつづけるシュタイニッツは的確な守りができずに敗北する。最後にミスを犯した局面で、 シュタイニッツはすでに敗勢にあった。一見単純な勝勢の局面から逆転されたことで心理的 打撃を受け、この対戦中に立ち直ることができなかったのだ。この敗北に揺らいだのは彼の 自信だけではない。シュタイニッツは大切に育んできた堅実で論理的なチェスの原理に裏切 られたように見えた。勝利を確信し、みずからの哲学に従ってプレーした自負がありながら、 彼は敗れたのである。
ラスカーがゲーム中に感じたこと、多くの名手たちが分析時に見落とすとはどういうことだろう? 当のラスカーでさえ、のちの所見で公式の解釈に異議を唱えなかったが、直感はゲーム中、彼を 的確に導いたのである。これは1世紀後の私の対局と私の分析を含めて考えても、決してめず らしいことではない。ゲーム中に達する集中のレベルを再現するのは不可能だとういうのが、ひと つの理由だ。駒を動かすことが杖となり、それを支えとして精神のかわりに目を使うようになること がある。盤を前に座るとき、われわれに選択肢はない。
こうした伝説の人物たちは何度となく、キャリア上の重要な場面で直感的に最善の手を見つけて きた。競争の重圧が彼らを深く追いこんだのだ。プレッシャーがないとき、私たちの感覚の一部は スイッチが切れている。分析とは、目の見える人が点字を学ぶようなものだ。私たちの考える優位 ・・・・時間、情報・・・・はときにもっと大事なものを、すなわち私たちの直感をショートさせるのである。
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カスパロフの名局 Garry Kasparov vs Veselin Topalov "Kasparov's Immortal" (game of the day Aug-23-08) It (cat.17), Wijk aan Zee (Netherlands) 1999 ・ Pirc Defense: General (B06) ・ 1-0 Anatoli Karpov vs Garry Kasparov "The Brisbane Bombshell" (game of the day Nov-05-08) Karpov-Kasparov World Championship Match 1985 ・ Sicilian Defense: Paulsen Variation. Gary Gambit (B44) ・ 0-1 Garry Kasparov vs Vladimir Kramnik It (cat.19) 1994 ・ Sicilian Defense: Lasker-Pelikan. Sveshnikov Variation Chelyabinsk Variation (B33) ・ 1-0 Anatoli Karpov vs Garry Kasparov "Rated G" (game of the day Mar-26-11) Linares ;CBM 34 Anand 1993 ・ King's Indian Defense: Saemisch Variation (E86) ・ 0-1 Garry Kasparov vs Lajos Portisch "Very Garry" (game of the day Jun-26-07) Niksic 1983 ・ Queen's Indian Defense: Kasparov-Petrosian Variation. Petrosian Attack (E12) ・ 1-0 Garry Kasparov vs Anatoli Karpov "Tossed on the Flohr" (game of the day Aug-15-10) Karpov-Kasparov World Championship Rematch 1986 ・ Spanish Game: Closed Variations. Flohr System (C92) ・ 1-0 |
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