

「我が魂を聖地に埋めよ」上下巻
アメリカ・インディアン闘争史 ディー・ブラウン著
鈴木主税 訳 草思社 より




真のアメリカの歴史を綴った名著。栄光の西部開拓の裏で何が
行われたのかをこの本は暴露している。そこには人間とも思わ
れない白人によって繰り返されるインディアンへの虐殺の歴史が
緻密な記録をもとに描かれ、またどのような迫害にあっても白人
との共存を模索していた崇高なインディアン首長の姿を見ること
が出来るであろう。このインディアンの側から書かれた真の歴史
書は1970年に出版されたものであるが、アメリカという国で何が
行われ、かつ日本においてもアイヌや沖縄の人々に多くの屈辱を
与えてきた私たち文明人のもつ残虐性の正体を今こそ、自ら問
うことが出来なければ、この世界は永久に光を失うかもしれない。
(K.K)

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である。この半世紀の間に西部の開拓は完了したがそれは同時 にインディアン征服の完了とも重なっている。すなわち1890年の ウーンデッド・ニーの虐殺をもってインディアンの組織的抵抗は 終わりをとげ、同時にフロンティアも消滅した。1860年からわず か30年間にシャイアン、ユート、アパッチ、スー、コマンチ、ナヴ ァホ、カイオワ、アラパホの各部族は次々と滅ぼされた。白人に とって土着アメリカ人であるインディアンとは、開拓されるべき自 然の一部であり、物理的に排除されるべきものでしかなかった。 フロンティア開拓にまつわる神話をアメリカ史はほこりとしている。 だがそこに犠牲となったインディアンの声がきかれることはまれ である。著者は条約会議でのインディアンの発言の速記録などを もとに本書をかきあげた。彼らの言葉は雄弁であり、詩的でさえ あり、そのいたましい歴史とともにわたしたちの心を打たずには おかない。・・・・・・・・・・・・・・・・本書より引用
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われわれはほうんとうには知らなかったのだ。(ニューズ・ウィークより)
ふりかえってみても、殺された女や子どもが曲がりくねった谷に 沿って積み重なり、散らばっていたありさまを、当時のまだ若か った私の目が見たままに思い出すことができる。そして私は、 その時血に染まった泥の中で何かが死に、それは吹雪に埋も れてしまったということがわかる。人びとの夢がそこで死んだの だ。それは美しい夢だった・・・・・国をまとめていたたがが外 れ、すべてがばらばらになった。もはや中心というものがなくな り、神聖な木は枯れてしまった。ブラック・エルク(本書より)
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本書・上巻 訳者あとがきより引用
たとえばキャップテン・ジャック(十章)、シッテング・ブルやクレージー・ホース(十二章)、機略 縦横の雄弁家ジョセフ酋長(十三章)、そしてつねに凶悪残忍な男として描かれてきたアパッチ 族最後の酋長ジェロニモ(十七章)など --- の言葉を、本書でじかに聞いてみるが良い。少な くとも彼らは、条約あるいは交渉の相手となった白人と同じような、いやそれ以上の知力と明敏 さと、そして人間性をそなえていたのである。彼らと比較してみれば、サンド・クリークの虐殺を 指揮したシヴィングトン(四章)、いまだに悲劇のヒーローとして偽りの名声に包まれ、その名を冠 した記念公園まで残されているカスター(十二章)などは、傲慢で無知な、血に飢えた偏執狂とし か思われない。もちろん、中には善意で道理をわきまえた白人もいないわけではない(四章の トール・チーフ・ウィンクップ、九章のトム・ジェフォーズとジョン・クラム、十四章のホワイト・ハッ ト・クラークなど)。だが、個々の白人の善意は、勃興期のアメリカ資本主義の金と土地への 飽くなき要求の前ではついに無力でしかなかった。真の自然保護論者たる土着アメリカ人や、 彼らの貴重な生活物資たる野牛とともに、それらの白人の善意はしょせんフロンティアの神話 をかざる片々たるエピソードとして消えていくほかなかったのである。ところで、新大陸にわり こんできた白人のウソは、土着アメリカ人からその土地をまきあげるための方便として使わ れただけではなかった。白人は、自分たちのおかした侵略、暴行、詐欺、虐殺を正当化する ためにもウソという方便に頼った。つまり、おのれに都合の悪い事実を歴史から抹消したの である。文字によって自分たちの歴史を記録することを知らなかったが、土着アメリカ人が コロンブスに「発見される」以前から、アメリカ大陸に存在し、猛烈な収奪とジェノサイドにあっ て数こそ少なくなったけれども、現在まで存在しつづけてきていることは事実である。だが、 著者も序文で指摘している通り、その彼らが公刊されたアメリカ史の舞台に登場することは ほとんどなかった。アメリカの歴史の中では、彼らはあたかも存在しなかったかのように、 あっさり無視され、抹殺されてきたのである。そのことがどういう意味をもつのか、筆者には ここでにわかに答える用意がない。ただ、いろいろなことが明らかになりつつある現在、アメ リカ史というものをここであらためて考えなおしてみる必要があるのではないかと思うだけで ある。白いアメリカ人によって書かれた、土着アメリカ人や黒人抜きのアメリカ史という壮大 なウソを、われわれはこれまで読まされてきた。 --- そう言ったら言いすぎであろうか? ともあれこの本は、反アメリカ史(本多勝一「アメリカ合衆国」)を語ることにより、自由と民主 主義の本家とされてきたアメリカ合衆国が、いまヴェトナムで暴露しつつある姿こそ、その 歴史をつらぬく本性であることをわれわれに教えてくれているのだ。
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はじがき 1 「彼らの態度は礼儀正しく、非のうちどころがない」 2 ナヴァホ族の長い歩み 3 リトル・クローの戦い 4 シャイアン族に戦雲せまる 5 パウダー・リヴァー侵攻 6 レッド・クラウドの戦い 7 「良いインディアンは死んでいるインディアンだけだ」 8 ドネホガワの栄光と没落 9 コチーズとアパッチ族のゲリラ戦士 訳者あとがき
10 キャップテン・ジャックの試練 11 野牛を救うための戦い 12 ブラック・ヒルズをめぐる戦い 13 ネ・ペルセ族の逃避行 14 シャイアン族の大移動 15 スタンディング・ベアー、人間となる 16 「ユート族は立ち去らねばならぬ!」 17 最後のアパッチ族酋長 18 幽霊の踊り 19 ウーンデッド・ニー
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