祈りの翼




アビラの聖女テレサ(イエズスの聖テレジア)1515−82

上の画像はフランスの新古典派の画家、フランソワ・ジェラールが

1819年から1820年にかけて描かれた「聖テレサ」である。


カルメル山の聖母の会の修道女、イエズスのテレジアが書いた「完徳の道」と題され

るこの書は、初代の会則を守るカルメル会跣足修道女にあてたものである。また、聖

テレジアの時代のスペインでは、チェスが非常に盛んであり、聖女も指していたが、念

祷のたとえにチェスを使うのは軽率であり、ふさわしくないと思ったのか後日省いてし

まう。これは当時のカトリック並びに修道院の中では世俗的な楽しみを極端に排斥し

していたことを考慮したものによる。しかし、このチェスを用いたたとえは実に美しく、

またあまりにも有名であるのでエスコリアル原稿に従って、本書「完徳の道」では掲載

している。現代ではマザー・テレサがインドで行われた青少年のためのチェス大会の

表彰式に出席したりとカトリックも変化してきているが、世界の幾らかのチェスファンに

とってこのアビラの聖女テレサは、チェスの守護聖人として今も輝き続けている。




映画「Searching for Bobby Fischer」より







私が今までに言ったことだけで、もうたいしたものだと思わないでください。

私はまだ、いわゆる盤に駒を並べたにすぎません。あなたがたは、念祷の

基礎になるものについて話してほしいとおたのみになりました。娘たちよ、

神は私を{徳という}この第一歩からお導きにならず、そのため私は今もま

だ{前にお話ししてきた}徳の初歩さえ持っているはずはないのですが、そ

れでも、ほかの基礎は知りません。チェス(西洋将棋)のゲームでは、駒の

動かしかたを知らない人は勝つことができないとお思いなさい。王手をかけ

ることを知らないならば、詰手もさせないのです。この家ではそのような遊び

はありませんし、あってはならないのですがら、こんな勝負の話など持ち出し

て、あなたがたにしかられるでしょう。でも、これで神がまあいったい何という

母をあなたがたにくださったのかが、おわかりになるでしょう。彼女はこんな

にむなしいことまで知っていたのです! とにかく、この遊びは、ときどきは

してもかまわないと言われています。それならば、このチェスの手をここで

応用するのはどれほどかまわないかもしれません。もしたびたびこの手を

使えば、なんと早く“神なる王さま”を王手詰めにすることでしょう。そうすれ

ば主はもう私どもの手からのがれることがおできになりませんし、逃げたい

ともお思いにならないでしょう。このゲームでは、王さまにいちばん戦いをい

どむことのできるのは女王駒で、ほかの駒はみな女王を助けます。さて、

それでは、謙そんほど、神なる王さまを降参させる女王はありません。この

謙そんこそ、主を天国から処女マリアのご胎にお引きよせしたのでした。

また私どもも、謙そんによって、髪の毛のただひとすじで、主を自分の霊魂

の中にお引きよせするのです。私をお信じなさい。謙そんを多く持つ者は

主を多く所有し、謙そんの少ない者は、主を持つことも少ないのです。愛な

しでどうして謙そんがあり、またありえるのか、そして謙そんなしにどうして

愛がありえるのか、私にはわかりません。また、すべての被造物からの

大きな離脱なしには、この二つの徳は存在することができないのです。


イエズスの聖テレジア著 「完徳の道」 ドン・ボスコ社より引用







聖テレジア(アビラ)おとめ教会博士 1515 3/28−1582 10/4 1622年列聖

1515年、スペインのカスチリア洲アビラ市に生まれ。12歳のとき母親を亡くし、14歳のとき

アウグスチノ女子修道院にあずけられたが、健康を害し父親のところに戻る。19歳のとき、

高い理想をもってカルメル会修道院に入ったが、当時の修道生活は、規律・修道精神が緩

慢となっていた。そのことに失望したテレジアは、幻滅、悲哀、霊的乾燥、信仰に対する疑問

などに襲われる。しかしこの苦しみを通して、「魂の奥底で、神とともに生きる」祈りと瞑想の

深い神秘の体験をすることになる。1562年本来の会則に立ち返った「女子跣足カルメル会」

をアビラに創立し、10数人の修道女たちとともに厳しい生活を始めたが、改革を喜ばない他

の修道女から攻撃を受け宗教裁判にかけられ投獄される。しかし、十字架の聖ヨハネなどの

援助によって17もの女子修道院を建て、当時の社会に大きな影響を及ぼし、16世紀における

カトリック教会改革の原動力ともなった。シエナのカタリナ、幼きイエズスの聖テレジアととも

に、女性としてはただ3人の教会博士の中に数えられ、1582年10月67歳で亡くなる。

(この紹介文は「完徳の道」「霊魂の城」並びに“Laudate”などの文を参考にしています)



人生のあゆみ

(アビラの聖テレジア)


何ごとも心を乱すことなく

何ごとも恐れることはない

すべては過ぎ去っていく

神のみ変わることがない

忍耐はすべてをかちとる

神をもつ者には

何も欠けることがない

神のみで満たされる





アビラの聖女テレサ(イエズスの聖テレジア)による著作

「霊魂の城 神の住い」 聖母の騎士社

「完徳の道」 ドン・ボスコ社

「アビラの聖女テレサの詩」 聖母文庫 聖母の騎士社









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