ベートーヴェン「合唱」

 ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 

エリザベート・シュワルツコップ(ソプラノ)

エリザベート・ヘンゲン(コントラルト)

ハンス・ホップ(テノール)

オットー・エーデルマン(バス)

バイロイト祝祭管弦楽団及び合唱団

 



1942年、ナチス・ドイツ時代に演奏するフルトヴェングラー。しかし彼は

1933年、ヒンデミッド(ナチスの意向に沿う作曲を拒否し弾圧を受ける)

事件に対し、ナチスと対立。1938年、ドイツのオーストリア併合後、ナチ

スによるウィーン・フィル解散を阻止。1939年、第二次世界大戦が勃発

するがドイツに残り、国内のユダヤ人音楽家を庇護した人物です。戦後、

戦時中のナチ協力を疑われ、演奏禁止処分を受けるが、無罪判決を受

け、1947年に音楽界に復帰する。このCDは1951年に演奏されたも

ので、彼の最高傑作と言われています。1954年68歳にて死去。


 








私自身、ベートーヴェンの人生そのものに強い感動を覚える。ロマン・ロランの

「ベートーヴェンの生涯」という名著に触れて、その想いをまた新たに感じた。

この第九はベートーヴェンの魂の結晶とも言える素晴らしい作品であり、深く

そして強く心を揺すぶるものである。そして指揮のフルトヴェングラーこそ、

ベートーヴェンの訴えたかったものを真に聴くことができた偉大な天才である。

(K.K)


「心に響く言葉」1997.6/6を参照されたし


 
 


不朽の名演、バイロイトの「第9」


この録音は、1951年7月29日、第二次大戦後、初めてバイロイト音楽祭が再開

された記念すべき実況録音であり、フルトヴェングラーを語る上で最も重要な資

料といえよう。こんなにすばらしい「第9」は他に決して例が無いし、今後もこれ

以上の演奏が現われる可能性はきわめて薄い。フルトヴェングラーの特徴が

「第9」という大曲、名作を得ていやが上にも輝き、これほどまでに見事な演奏

を産んだのであろう。彼の棒の下、ベートーヴェンの音楽の本質が最も生き生

きと再現されている。しかし、ここでわれわれが感動するのは、結局のところ

ベートーヴェンの芸術の力に他ならないのであって、それだからこそ指揮者の

使命は重要なのだ。最近、演奏の客観性ということが叫ばれているが、「第9」

のような人間くさい音楽を表現するのに、指揮者が冷静であったら一体どんな

ことになるのだろう。指揮者が「第9」の魂と同じ高さ、同じ激しさ、同じ歓喜と

興奮の中に自ら生きなければ、決して真の生命は再創造される筈もないので

ある。 (中略) バイロイトでこの演奏を聴いたある人が「こんなに速いテンポ

をとっていいのか」と思ったそうだが、ああ、そのような理性的な聴き方こそ呪わ

れてあれ。この演奏の後で他の演奏に接すると、あまりの安全運転にかえって

反感をおぼえる。他の指揮者は単なる交通整理をやっているだけではないか。

あんなのを再創造とか再現芸術とか言うのはおこがましい。フルトヴェングラー

の表現でこそベートーヴェンの思想は生き、全人類は遥か星空の下、愛する父

に向かって連れ去られるのではあるまいか。なお、フルトヴェングラーの「第9」

の録音は他にも出ているが、部分的にはともかく、全体の深い感銘において、

このバイロイトの実況録音が抜きん出て優れている。

宇野功芳 (本CD パンフレットより抜粋引用)



The Etude Gallery of Musical Celebrities - August, 1909







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